第30回柴田錬三郎受賞作、待望の文庫化!『日蝕えつきる』花村萬月 こんな時代だからこそ、普段は目を逸らしている人間の「暗黒」を凝視したい。連作時代小説。 江戸の底辺に生きる人間の暗黒を描いた連作時代小説第30回柴田錬三郎受賞作、待望の文庫化!『日蝕えつきる』花村萬月 こんな時代だからこそ、普段は目を逸らしている人間の「暗黒」を凝視したい。連作時代小説。 江戸の底辺に生きる人間の暗黒を描いた連作時代小説

『日蝕えつきる』

内容紹介

天明六年正月元日、日蝕皆既──。日蝕えつきて、未一刻にふたたびあらわれた太陽を●●がその目で見ることは、なかった。
天変地異や大飢饉が起こった天明期、元日に日本を闇が覆った。その皆既日蝕を背景に、底辺を這いずるように生き、凄惨な死を迎える五人の男女を描いた連作時代小説。
思わず目を背けたくなるが、濃密な描写から目が離せない。読む者の覚悟を問う第30回柴田錬三郎賞受賞作が、ついに文庫化。

2020年7月17日発売

定価
本体580円+税
カバーデザイン
坂野公一(welle design)
装画
弘瀬金蔵「絵本太功記 杉の森とりで」
個人蔵、香美市美術館寄託

著者紹介

花村萬月(はなむら・まんげつ)

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。『風転』『虹列車・雛列車』『アガルタ』『花折』『帝国』『ヒカリ』など多数。

推薦コメント

覚悟を決めて読む価値がある ── 細谷正充(文芸評論家)

「この本を読む者は一切の希望を捨てよ」

 ダンテの『神曲』に登場する、地獄の門に刻まれた銘文「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」を捩って、最初にこう宣言しておく。本文よりも解説を先に読む読者が、一定数いることは知っているので、読む気を削ぐ可能性のある、この書き出しはどうかと思う。だが本書だけは、これでいいのだ。作者は「あとがき」で、

「救いのない物語ばかりですが、作者にはこれぞ真の『暗黒』小説との思いがありました」

 と記しているが、もっと強い言葉を使うべきではないのか。なぜなら、ここにあるのは最暗黒の時代小説なのだ。天明時代の底を這いずるように生きて死ぬ、五人の男女の物語は、血と怨念と絶望に塗れているのだ。本を開くには覚悟が必要である。そして、覚悟を決めて読む価値がある。

(中略)

 二〇二〇年現在、コロナ禍の影響により、日本も世界も先が見えなくなってしまった。誰もが今の生活を、いきなり失う可能性があることが、否応なく分かってしまった。本書の五人の悲惨な人生は、けして他人事ではないのだ。こんなときだから、普段は目を逸らしている人間の『暗黒』を凝視したい。読者を選ぶことを承知の上で、本書を強く薦めたいのである。

(本書『解説』より抜粋して引用)

『日蝕えつきる』

日蝕えつきる 花村萬月
こんな時代だからこそ、普段は目を逸らしている
人間の「暗黒」を凝視したい。連作時代小説。
2020年7月17日発売定価 本体580円+税