コラム
We Love Books
第九回「ボイルドエッグズ」
才能の代理人   2007.02.20
〈文・小山田桐子〉
村上氏
村上氏
 本好きなら一度は行ってみたい場所、挑戦したいことを紹介する『We Love Books』。さて、今回は一体何を取材しましょうか、と若手編集者Iさんに尋ねると、即座に「日本の著作権エージェントを取材しませんか」と返事が返ってきた。「ま、まさか、Iさん、前回の取材で携帯小説を書き始めたことをきっかけに、本気で作家を目指し始めたんじゃ!?」「ち、違いますよ、今後の出版界を考える上で、エージェントというものに編集者として大変興味があるんです!!」あのあと、携帯小説を第10話まで書いたとも言っていたし、もしや……とさらに追及するが、Iさんは断固否定。まあ、Iさんの思惑はさておき、日本ではまだ馴染みの薄いといえる著作権エージェントの仕事というのは、確かにとても興味深い。日本で初めての著作権エージェントであるという、「ボイルドエッグズ」の村上達朗さん、所属作家である三浦しをんさんに取材をお願いすることにしました。

 さて、著作権エージェントとは、作家・著者の著作権を管理し、窓口となって交渉する代理人のこと。新人作家を発掘したり、育成し、出版社に売り込んだりもする、アメリカの出版界などでは欠かせない存在だ。著作権エージェントというものをよく知らない人でも、ボイルドエッグズという名前にはピンと来る人は多いだろう。『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞した三浦しをんさん、『NHKにようこそ!』などで知られる滝本竜彦さんらが所属するエージェントだ。このボイルドエッグズを立ち上げた村上達朗さんは、なぜ、日本には存在しなかった著作権エージェントというビジネスを始めようと考えたのだろうか。話を聞いた。
「僕は早川書房で編集者を20年ぐらいやっていたんですが、あるときから出版人として、新人作家と一から作品を作り上げていくような仕事をやりたいと思うようになりました。それを実現するためにはどうしたらいいか、と考えたときに、海外にあるエージェントを日本でできないだろうかと。さらに、その当時、94年ごろはインターネットが日本にも入ってきた時代で、このインターネットを使うことによって個人も組織も同じスタートラインに立つことができるのではないかと考えたのです。また、住んでいる場所も国籍も関係なくアクセスできるので、ふだん出会えないような才能をここで発掘することができるのではないかとも考えました」

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第一回
  『エンカウンター』
本と人とが運命的に出会う場所
第二回
  『六本木ライブラリー』
人と人を結ぶ、大人の自由空間
第三回
  『TRICK+TRAP』
すべてのミステリファンの「書斎」
第四回
  『国立国会図書館』
何回生まれ変わると全部読める?
第五回
  『「詩のボクシング」全国大会』
声のパンチ、言葉のパンチ
第六回
  『COW BOOKS』
「BOOK BLESS YOU」
第七回
  『読書グッズ特集』
本が好きだから作りました
第八回
  『魔法のiらんど』
ケータイ小説の魔法
第九回
  『ボイルドエッグズ』
才能の代理人
第十回
  『ショートソング』
小説が漫画になるとき
第十一回
  『池袋コミュニティ・カレッジ』
本読みの達人になるために
最終回
  『LOFT/PLUS ONE』
作家も一日店長に!?