ある時は、“籠城している反乱軍を「壊滅」させるのに使った秘密兵器”をどのように使ったのか、またある時は、“ある国の皇后をたぶらかしている芸術家との腕比べ”でのマルコの芸術の現し方、またある時は……。不思議に満ちた物語を次から次へと語るマルコ。
13世紀、イタリア半島・ジェノヴァの牢で繰り広げられる“マルコ・ポーロ”を名乗る男からの謎を解こうと必死で考える男たち。
この豊穣な物語が装いも新たに刊行されるにあたって、作家・書店員・評論家・声優・タレントの方々から推薦の言葉をいただきました。ぜひあなたも『百万のマルコ』の世界にようこそ!
応援コメント
マルコの明かす冗談とも本気ともつかない真相に、唸ったり、笑ったり、誰かに話したくなったり。
楽しく気軽に読めて、おすすめです!
そこは牢の中。カメラは五人の囚人たち一人一人を映しながらパンしていき、最後に、陰をまとう謎の老人・マルコを捉え、フォーカスする。
ひとたびマルコが語り始めれば、薄暗がりに閉ざされた牢屋は、遥か外の世界への入口に変わる。色褪せた牢壁が崩れ、眩しい陽光の向こうに、色彩豊かな景色、風物、人々の姿が現れる。視界が広がっていく楽しさと気持ち良さが押し寄せてくる。
本を開いてほんの数ページ、読書は「旅の追体験」に変わっていました。
そして、彼の語る(騙る)様々な冒険譚に惹き込まれ、自分も囚人の一人になった時、湧き上がったのは「彼らを演じたい!」という衝動。
百万のマルコは読者を「役者」に変えてしまう、そんな魔力と刺激と好奇心に満ちた物語です。
集英社さん、これオーディオブックにしませんか?自分、演りたいです!
僕たちは、日本で本を読んでいるのか、ヴェネツィアの牢屋でホラ話を聞いているのか、大ハーンの国で冒険をしているのか。「ここから連れ出して」くれる上質のミステリ。
連作短篇集『百万のマルコ』(柳広司)では、マルコ・ポーロが日本を、いや黄金の国ジパングを訪れる。奇妙な法律が支配するジパングで、いかにしてマルコは危機を脱し、見事黄金を手にしたのか? ジパングを舞台とするのは最初の二篇だけだが、特殊なルールが支配する一風変わったミステリとして、忘れがたい。