百万のマルコ 柳広司

『百万のマルコ』
イラストレーション/森美夏

ある時は、“籠城している反乱軍を「壊滅」させるのに使った秘密兵器”をどのように使ったのか、またある時は、“ある国の皇后をたぶらかしている芸術家との腕比べ”でのマルコの芸術の現し方、またある時は……。不思議に満ちた物語を次から次へと語るマルコ。

13世紀、イタリア半島・ジェノヴァの牢で繰り広げられる“マルコ・ポーロ”を名乗る男からの謎を解こうと必死で考える男たち。

この豊穣な物語が装いも新たに刊行されるにあたって、作家・書店員・評論家・声優・タレントの方々から推薦の言葉をいただきました。ぜひあなたも『百万のマルコ』の世界にようこそ!

応援コメント

[小説家]伊坂幸太郎氏 帯推薦文

マルコの明かす冗談とも本気ともつかない真相に、唸ったり、笑ったり、誰かに話したくなったり。
楽しく気軽に読めて、おすすめです!

[声優]岩崎了氏

そこは牢の中。カメラは五人の囚人たち一人一人を映しながらパンしていき、最後に、陰をまとう謎の老人・マルコを捉え、フォーカスする。
ひとたびマルコが語り始めれば、薄暗がりに閉ざされた牢屋は、遥か外の世界への入口に変わる。色褪せた牢壁が崩れ、眩しい陽光の向こうに、色彩豊かな景色、風物、人々の姿が現れる。視界が広がっていく楽しさと気持ち良さが押し寄せてくる。

本を開いてほんの数ページ、読書は「旅の追体験」に変わっていました。

そして、彼の語る(騙る)様々な冒険譚に惹き込まれ、自分も囚人の一人になった時、湧き上がったのは「彼らを演じたい!」という衝動。
百万のマルコは読者を「役者」に変えてしまう、そんな魔力と刺激と好奇心に満ちた物語です。

集英社さん、これオーディオブックにしませんか?自分、演りたいです!

[ブックジャーナリスト]内田剛氏 書評「物語の醍醐味に囚われろ!」
「青春と読書」書評に。 ▶
[ポッドキャスター]COTEN RAIDO 深井龍之介氏

僕たちは、日本で本を読んでいるのか、ヴェネツィアの牢屋でホラ話を聞いているのか、大ハーンの国で冒険をしているのか。「ここから連れ出して」くれる上質のミステリ。

[ミステリ書評家]村上貴史氏 文庫解説「柳広司の知恵/経験/想像力を駆使したお得な作品集」
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[小説家]米澤穂信氏 評(『米澤屋書店』[文藝春秋刊、P55より])

連作短篇集『百万のマルコ』(柳広司)では、マルコ・ポーロが日本を、いや黄金の国ジパングを訪れる。奇妙な法律が支配するジパングで、いかにしてマルコは危機を脱し、見事黄金を手にしたのか? ジパングを舞台とするのは最初の二篇だけだが、特殊なルールが支配する一風変わったミステリとして、忘れがたい。

【プロフィール】

柳広司(やなぎ・こうじ)

1967年生まれ。神戸大学法学部卒業。
2001年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞受賞。歴史や文学作品をミステリと融合させた『吾輩はシャーロック・ホームズである』『新世界』『百万のマルコ』などの作品を発表。09年『ジョーカー・ゲーム』で第26回吉川英治文学新人賞と第62回日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

『百万のマルコ』

百万のマルコ 柳 広司
2022年3月18日発売
定価:682円(税込)
書名:百万のマルコ
著者名:柳 広司
2022年3月18日発売
定価:682円(税込)
ISBN:ISBN:978-4-08-744365-3

十三世紀末、イタリア半島・ジェノヴァの牢に新入りがやってきた。“マルコ・ポーロ”を名乗る男は、世にも不思議な物語を語る。「黄金だらけの場所で、ほぼ道具を使わず、どうやって黄金を得たか」(「百万のマルコ」)。「酒を飲んではいけない砂漠の民に飲み物を求められた。酒しかない。どう切り抜けたか」(「掟」)。囚人達は真相を推理するが……。謎解き噺十三話に新作一編を加えた決定版。