よみもの・連載

水晶庭園の少年たち

番外編エッセイ①

蒼月海里Kairi Aotsuki

 日本から飛行機でミュンヘンへ向かうには、地平線の向こうに沈もうとする太陽をひたすら追いかけることになります。
 なので、いつまでも沈まない太陽を眺めながら空の旅が出来るのかとワクワクしていたのですが、機内食の時間が過ぎると勝手に機内が暗転するというご配慮が。窓も暗くなり、外が見えなくなってしまった私は、泣く泣くブランケットを被って眠ったのでした。

 そして、羽田から飛び立って約十二時間後、無事にミュンヘン空港に到着し、入国審査へ。
 前に並んでいた人は特に質問されずに通過しているし、自分も問題無いだろうと思ったその矢先に、入国審査官から英語で質問が。どうやら、何をしにドイツに来たのかを聞いている様子。
 私は、観光のためだと答えたいけれど、『観光』という単語が分からない!
 翻訳アプリをもたもたと起動させていると、日本人の航空スタッフがやって来たので、その方々に通訳をして貰い、何とか入国完了。何日滞在するのかとか、後ろの人は同行者かとか、色々聞かれてしまったのですが、まさかこれは、私がいかにも頼りない外見だから、心配されてしまったのでは……。
 ここはドイツ。ゲルマンの血が流れる方々の土地。ここでは小柄で童顔なアジア人である私は、『学生さん』と勘違いされているのでは……!?
 空港から市街地まで約四十五分。果たして私は、ドイツの人々を心配させず、無事にホテルまで辿(たど)り着けるのでしょうか。


ミュンヘン中心部にあるマリエン広場
プロフィール

蒼月海里(あおつき・かいり) 1983年宮城県生まれ。日本大学理工学部卒業。
2014年、文庫書き下ろしの『幽落町おばけ駄菓子屋』でデビュー。同シリーズのほか「華舞鬼町おばけ写真館」「幻想古書店で珈琲を」シリーズなどを次々と刊行。他の著書に『水上博物館アケローンの夜』など。

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