よみもの・連載

トナリの怪談

第一回 怪談一人語り:不動産屋の内見

シークエンスはやともSequence Hayatomo
構成/樹島千草

 皆様 、こんばんは。シークエンスはやともです。幼い頃から幽霊が見え、共に生きてきました。テレビやYouTubeでは「霊視芸人」として活動しています。
 生き霊、死霊問わず、様々な体験をしてきましたので、その中でいくつか、面白いエピソードをお話しさせてもらいますね。
 恐怖体験も、ほっこり体験も、少し謎の多い体験も……全て自分や知人が実際に体験した話です。ド派手な除霊対決や凄惨な事件につながるものばかりではありませんが、だからこそ皆様にも身近に感じてもらえる気がしています。
 今、あなたの隣にいる方、足はあるし、しゃべるし、おしゃれな服を着ているし……でも、幽霊かもしれませんよ?


 実は私、二〇一六年の四月に実家が全焼したんです。
 被害者が出てしまうほどの惨事だったのですが、今回はそこから派生した話……急遽(きゅうきょ)、住む家を探すことになった時の話をさせていただきます。

 当時は僕も実家で暮らしていたため、突然の火事で両親と三人そろって、住む場所に困る事態になりました。
 とにかく早く、新たに住む家を探さないといけない。緊急事態なので、あれこれ条件をつけることもできない。
 三人とも、そこは考えが一致していました。何しろ家を見つけるまでは車内で生活しなければならないほど切羽詰まっていたわけですから。
 火事があった翌日にはもう、僕たちは不動産屋さんに向かいました。
 落ち着いた雰囲気の店内で女性の担当者の方に、こちらが希望する条件を伝えます。
 その時、一番重視したのはやはり金額面です。
 実家が全焼してしまったので、あまり贅沢(ぜいたく)はできません。敷金礼金がなくて、できるだけ家賃が安くて、今すぐにでも入居できる賃貸物件を紹介してほしいとお願いします。
 敷金や礼金がゼロの物件はいくつかあったのですが、やはり「今すぐ入居できる、家賃が安い賃貸物件」という部分がネックでした。
 まあ、そうですよね。条件のいい物件は誰もが住みたがりますし、快適ならできるだけ転居しないですから。
 ――ここは駅チカで、築年数も新しいですよ。家賃は少々お高めですが。
 ――ここはちょうど昨日、空きが出たのですが、即日他の方が入居を決めてしまいましたね。
 ――ここはずっと空いているのですが、両隣の部屋の方とトラブルが絶えなくて……。
 不動産屋さんも一生懸命探してくれるのですが、なかなか見つかりません。
 ……これもダメ、ここも厳しい。
 そうやって探していく中で困り切った不動産屋さんが、あの、と言いにくそうに切り出してくれました。
「一件、お客様の条件に合致する物件はあるのですが……」
 2DKで敷金礼金なし、築年数は十年と少しで、そこまで古いわけでもない。木造ではなく、鉄骨の二階建てアパートで、家賃は同じ条件の物件の三分の一以下……。
 なんていい条件なんだ、と思いました。まさに自分たちが探している物件そのものじゃないか、と。
「ただ……」
 不動産屋さんは少しこちらの様子をうかがうような顔で続けました。
「特記事項があるんです」

プロフィール

シークエンスはやとも 吉本所属のピン芸人。自称・心霊第七世代。
幼少期から沢山の心霊体験に遭遇し、それを面白く、時には怖く表現することを芸としている。
TVやYouTubeを軸に活躍中。

Youtubeチャンネル「シークエンスはやともチャンネル?1人で見えるもん。?」 https://www.youtube.com/channel/UCZnndFCPnK1EC2PERlGvwOA
Twitter:@HayaTaka78


構成/樹島千草(きじま・ちぐさ) 牡羊座A型。東京都出身。某大学文学部卒業。甘味とカフェオレと昼寝が好き。
著書に『咎人のシジル』、『虹色デイズ 映画ノベライズ』がある。
Twitterやってます。@chi_kijima1001

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