よみもの・連載

トナリの怪談

第二回 怪談一人語り:毎日見る夢

シークエンスはやともSequence Hayatomo
構成/樹島千草

 夢って面白いですよね。荒唐無稽な夢もあれば、現実とまるで変わらない夢もある。
 見ている途中で「あ、コレは夢だな」って自覚する夢もあれば、どう考えてもおかしいのに、夢の中の自分は大真面目に怒ったり、泣いたり、笑ったりしている夢もある。
 今回は僕が大学生の時に見た夢の話をさせてもらいます。

 *  *  *

 当時、僕は結構真面目な「学生」をしていました。三年間できちんと単位を取っていたこともあって、大学四年に上がる頃にはもう、ほとんど学校に行かなくてもよくなっていたんです。
 週一回のゼミと、いくつかの講義。時には一コマだけ講義を受けたら帰宅する……。そんな日もありました。
 大学一年の時は毎日会っていた友人たちとも学校で会うことは少なくなり、たまたま廊下ですれ違っては、「よう、そっちは今日、何?」、「●●先生の××学」、「あー、それ取ったのかー」なんて会話をする程度になっていました。
 そんなある日、僕はふと変な夢を見ました。
 夢の中で僕はどこかの住宅街を歩いています。真っ赤な夕焼けの中、一人でテクテクと。
 隣には誰もおらず、すれ違う人もいません。辺りは静かで、時々空を飛ぶカラスか何かのバサッという羽音だけが響くような……そんな夕暮れ時でした。
 道路には自分や電信柱、家々の影が長く伸びていて、まるで自分一人だけ、縮尺がおかしな国に迷い込んだ気になりながら、僕はただ歩いていました。
 三輪車が置いてある一戸建ての家の前をすぎました。
 淡く明かりがともる自動販売機の前をすぎました。
 電信柱の前をすぎ、ひもでくくられた段ボールが置かれている路地をすぎ……二階建てのアパートに着きます。
 少しさびた、外付けの階段をカンカンと音を立てて上り、風に乗って舞い込んできた木の葉を踏みながら、僕は廊下を歩いていく。
 吹きさらしの廊下には外灯が設置されていましたが、中の電球は切れていて、周囲はやっぱり赤黒い夕焼けに包まれていました。
 アパートの二階には部屋が五つ。
 横並びに四つと、突き当たりに一つです。
 201、202、203……一つずつ通りすぎ、僕は204号室の前に立ちました。
 鞄(かばん)から鍵を取り出し、鍵を開けてドアノブをひねります。
「ただいまー」
 夢の中で、僕は家に入りながらそう言います。
「お帰りー」
 タタキからすぐの廊下に、女の子が一人、立っていました。
 さらさらの黒髪を肩の辺りで切りそろえた、小柄な女の子です。
 白いきれいな肌をしていて、大きな丸い眼鏡をかけていて、おっとりとした雰囲気の、かわいらしい人でした。

プロフィール

シークエンスはやとも 吉本所属のピン芸人。自称・心霊第七世代。
幼少期から沢山の心霊体験に遭遇し、それを面白く、時には怖く表現することを芸としている。
TVやYouTubeを軸に活躍中。

Youtubeチャンネル「シークエンスはやともチャンネル?1人で見えるもん。?」 https://www.youtube.com/channel/UCZnndFCPnK1EC2PERlGvwOA
Twitter:@HayaTaka78


構成/樹島千草(きじま・ちぐさ) 牡羊座A型。東京都出身。某大学文学部卒業。甘味とカフェオレと昼寝が好き。
著書に『咎人のシジル』、『虹色デイズ 映画ノベライズ』がある。
Twitterやってます。@chi_kijima1001

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