よみもの・連載

トナリの怪談

第五回 〜いつ死ぬの?〜

シークエンスはやともSequence Hayatomo
構成/樹島千草

 数年前の話です。
 僕の友人で、彼女と同棲(どうせい)している奴(やつ)がいました。すごく仲がよくて、夫婦同然と言ってもいいほど幸せそうで……。
 僕や他の友人はみんな、彼らがいつか結婚するものだと信じ、その報告を楽しみにしていました。
 ……でもそんな時、彼女が病気で入院することになったんです。僕の友人は毎日のように病院に行って、彼女を励ましたり、身の回りで必要なものを持って行ったりしていましたが、彼女はどんどんやつれていき、結局入院してから半年くらいで帰らぬ人になってしまったそうです。
 僕はそれを他の奴から聞いて、彼のことがすごく心配になりました。
 あんなに仲がよかった彼女を失うなんて、彼は大丈夫だろうか、と。
 それで、彼に会いに行くことにしました。
「やあ……、その、大丈夫か?」
「……うん」
 出迎えてくれた友人は僕の問いにうなずきましたが、どう見ても大丈夫そうには見えません。顔は真っ青だし、やつれているし、髪もとかしていないし、ひげも剃(そ)っていないんです。以前から痩せていましたが、この時はもうガリガリで、今にも倒れそうに見えました。
 僕は来る途中で買ったプリンやゼリーなど、消化に良さそうなものを渡しながら、元気出せよ、なんて月並みの言葉しかかけられませんでした。
「今すぐじゃなくていいからさ。自暴自棄になったりはするなよ」
「うん……」
「ゆっくり時間かけていいから、前に進まなきゃ……。じゃなきゃ、彼女さんも安心できないだろ」
「うん、でも俺、しんどいよ」
 友人はぽろぽろと涙を流してうめきました。彼の気持ちはよくわかったものの、同時に僕には「見えて」いたんです。
 ベッドに座って、友人のほうをニコニコしながら見ている彼女の姿が。
 もちろん生身の人間ではありません。半透明で、全体的に色が薄いところからして、幽霊なのは明らかでした。
 幽霊になっても、彼女は僕の友人の元に戻ってきていたのです。二人で暮らしていたこの家はきっと、彼女にとっても思い出がたくさん詰まっていたことでしょう。ベッドにちょこんと座りながら、彼女は彼のことをとても愛(いと)しそうに見つめていました。
 ああ、本当に彼が好きなんだな、と僕は感じました。
 普段はこういうことを自分から相手に伝えることはないんですが、この時ばかりは教えてあげたい気持ちになったほどです。「彼女、ここにいるぞ。ニコニコ笑いながら、お前のことを見守ってるぞ」って。
 でも僕がなにかを言おうとした時、それより早く彼女が口を開いたんです。

『ねえ、いつ死ぬの?』

プロフィール

シークエンスはやとも 吉本所属のピン芸人。自称・心霊第七世代。
幼少期から沢山の心霊体験に遭遇し、それを面白く、時には怖く表現することを芸としている。
TVやYouTubeを軸に活躍中。

Youtubeチャンネル「シークエンスはやともチャンネル?1人で見えるもん。?」 https://www.youtube.com/channel/UCZnndFCPnK1EC2PERlGvwOA
Twitter:@HayaTaka78


構成/樹島千草(きじま・ちぐさ) 牡羊座A型。東京都出身。某大学文学部卒業。甘味とカフェオレと昼寝が好き。
著書に『咎人のシジル』、『虹色デイズ 映画ノベライズ』がある。
Twitterやってます。@chi_kijima1001

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