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最新!世界の常識検定

サイバーセキュリティにくわしい小説家・一田和樹が贈る、ネット時代の新常識クイズがスタート!
知らないと世界から取り残されるかも!? 今回のテーマは「民主主義は世界の主流なの?」。


民主主義指数は、世界の民主主義の状況を示すひとつの指標です。Economist Intelligence Unit(英エコノミスト誌の研究所)が、2006年から167地域を対象に調査を実施、発表しています。結果はレポートにまとめられ、無償で公開されています。最新版は『Democracy Index 2019 A year of democratic setbacks and popular protest』です。

Democracy Index 2019 https://www.eiu.com/topic/democracy-index

2020年に公開された世界全体の民主主義指数は最初の2006年以降、最低の数値となりました。金融危機など世界的な問題が発生すると、指数は低下する傾向があります。中でも中南米地域などの減少が目立ちます。
民主主義を選挙の手続きと多様性、政府機能、政治参加、政治文化、人権という5つのカテゴリーごとに指数化し、その状態によって「完全な民主主義」、「瑕疵のある民主主義」、「ハイブリッド」、「権威主義」の4つに分類しています。
5つのカテゴリーのうち選挙の手続きと政治参加以外のカテゴリーは指標ができた2006年以降、悪化の一途をたどっています。中でも政府機能(透明性、説明責任、腐敗)、人権は5つのカテゴリーの中でも最低スコアとなりました。人権が急速に低下しているのと対照的に政治参加は目立って上昇しています。人権が脅かされたことで抗議活動が活発になったことが一因と考えられます。
指数は10段階評価になっており、1が最低、10が最高です。全てのカテゴリーを合わせた平均は、2006年に5.52だったものが5.44に下がりました。地域別に見ると、西ヨーロッパ(8.35)と北アメリカ(8.59)は高いスコアの地域で、次点のラテンアメリカは6.13と少し差があり、他のアジア&オーストラリア、東ヨーロッパ、中東と北アフリカ、サハラは5ポイント台もしくは4ポイント台と低くなっています。

このレポートでは、かつて世界を牽引してきたOECD諸国では民主主義が後退し、世界への影響を強めつつある新興国では権威主義が力を持つようになっていると指摘しています。

国別のランキングを見ると上位は欧米に占められます。日本は24位で「瑕疵のある民主主義」に分類されています。アメリカは25位です。
「完全な民主主義」が実現されている国の人口は世界のたった5.7%で、GDPでは20%を下回ります。「完全な民主主義」は人口でも経済でも世界のごく一部を占めるに過ぎなくなっているのです。さらに「瑕疵のある民主主義」の国の人口を加えても50%を下回ります。民主主義の国に暮らす人口は、世界の半分以下なのです。世界における民主主義の存在感、影響力は低下していると言わざるを得ません。

プロフィール

一田和樹(いちだ かずき) 東京生まれ。経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。
10年、「檻の中の少女」 で島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。
著書に『女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険』『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』『キリストゲーム』『絶望トレジャー』など。
http://www.ichida-kazuki.com/ Twitter:@K_Ichida

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