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日本国内にもアメリカ国家安全保障局(NSA)の協力拠点があり、日本政府はその費用を支払っています。今回はその予算についてのクイズです。


アメリカの国家安全保障局(NSA)はXKEYSCOREという名前の通信傍受システムを有している。アメリカ、メキシコ、ブラジル、イギリス、スペイン、ロシア、日本など150箇所にXKEYSCOREの監視施設があり、700以上のサーバーの存在が確認されている。XKEYSCOREはカナダ、ニュージーランド、イギリス、日本にも提供されており、日本では防衛省情報本部電波部が利用している。日本の国内には3箇所の拠点があり、およそ500億円以上(5億ドル以上)を日本が負担している。
拠点のひとつである、大刀洗の自衛隊基地には、MALLARDと名付けられた監視プログラムのための巨大なアンテナとドームがあり、アジア地域を主に監視対象としており、200の通信衛星を傍受できるという。
2018年5月19日放送のテレビ番組『日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル』(NHKスペシャル)では、この連載第3回で紹介したスノーデンが諜報機関から持ち出した「ジャパン・ファイル」などの内容を公開した。
そこには日本の横田基地で通信装置が開発され、中東での戦闘に役立ったことが書かれていた。そのための人件費約3,750万円(37万5000ドル)と開発費用約6億6,600万円(660万ドル)は日本政府が支払っている。
2017年5月17日の第193回国会衆議院外務委員会第15号では、衆議院議員で外務委員会メンバーの宮本徹の質問により歴代の防衛省情報本部電波部トップが全て警察出身であることが明らかにされ(https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119303968X01520170517&spkNum=99&single)、XKEYSCOREの情報が警察を含む複数の日本政府組織で共有されている可能性が指摘された(https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119303968X01520170517&spkNum=118&singlehttps://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119303968X01520170517&spkNum=112&single)。その時の指摘内容は、自衛隊情報保全隊が自衛隊のイラク派遣に批判的な市民の活動を監視していた際、XKEYSCOREが使用されたのではないかというものだった。明確な回答は得られていない。なお、自衛隊がイラク派遣に批判的な市民の活動を監視していたことは事実として自衛隊も認めており、東北6県の住民らが国に監視の差し止めと損害賠償を求めた裁判では国の賠償責任が認められ、判決が確定している。なお、監視の差し止めは却下されたので監視活動は合法的に現在も行われている可能性が高い。また、自衛隊の監視対象はイラク派遣に反対する市民に留まらず、医療費負担増,国民春闘,年金制度などへの抗議も含まれていた。

また、これとは別に「ターゲット・トーキョー」という名称でアメリカ国家安全保障局(NSA)が日本政府および民間企業に対して盗聴活動を行っていたことも暴露されている。


Snowden(2019年9月13日、ガーディアン)
https://www.theguardian.com/us-news/ng-interactive/2019/sep/13/edward-snowden-interview-whistleblowing-russia-ai-permanent-record
スノーデンの警告「僕は日本のみなさんを本気で心配しています」(2016年8月22日、現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49507
XKeyscore: NSA tool collects 'nearly everything a user does on the internet'(2013年7月31日、ガーディアン)
https://www.theguardian.com/world/2013/jul/31/nsa-top-secret-program-online-data
XKEYSCORE: NSA's Google for the World's Private Communications(2015年7月1日、The Intercept)
https://theintercept.com/2015/07/01/nsas-google-worlds-private-communications/
A LOOK AT THE INNER WORKINGS OF NSA’S XKEYSCORE(2015年7月2日、The Intercept)
https://theintercept.com/2015/07/02/look-under-hood-xkeyscore/
米NSA、日本にメール監視システム提供か 米報道(2017年4月24日、朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASK4S6QZGK4SUHBI035.html
米国が提供したとされる電子メール監視システムに関する質問主意書(2017年4月25日、衆議院)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193263.htm
THE UNTOLD STORY OF JAPAN’S SECRET SPY AGENCY(2018年5月19日、The Intercept)
https://theintercept.com/2018/05/19/japan-dfs-surveillance-agency/
日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル(2018年5月19日、NHKスペシャル)
第193回国会 衆議院 外務委員会 第15号 平成29年5月17日(2017年5月17日、衆議院)
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119303968X01520170517&current=1
自衛隊情報保全隊は過去にどんなことをしてきた?一般市民を監視対象に 国に賠償命令も(2019年7月6日、琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-949413.html
陸上自衛隊による市民監視についての意見書(2007年10月23日、日本弁護士連合会)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/071023.pdf

 

プロフィール

一田和樹(いちだ かずき) 東京生まれ。経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。
10年、「檻の中の少女」 で島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。
著書に『女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険』『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』『キリストゲーム』『絶望トレジャー』など。
http://www.ichida-kazuki.com/ Twitter:@K_Ichida

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