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サイバーセキュリティにくわしい小説家・一田和樹が出題する、ネット時代の新常識クイズ第25問!
今回は、SNSで発生するエコーチェンバー現象についてのクイズです。


エコーチェンバー現象とは残響室(エコーチェンバー)という音響設備から名付けられた。残響室とは文字通り、音がよく反響し、残響時間も長くなるように作られている部屋である。
インターネット上にはたくさんの意見や情報があるが、偏った意見でも類似の意見を持つ集団やそれを裏付ける情報を見つけることができる。その情報を信じている集団(SNSのグループなど)に加わると、接する意見や情報は全て自分の意見と合致するものばかりになってしまう。否定する証拠や意見が他にあっても、それが目に入ることはない。そのため、頑(かたく)なに自分の考えを信じ続けるようになる。異なる意見や情報があったとしても、エコーチェンバーの中では苛烈な批判や攻撃にさらされることになる。
エコーチェンバーは少数の集団だけで起こるわけではなく、多くの人々あるいはメディアがその意見を支持すれば広い範囲にわたって多数の人間を巻き込んだものとなる。
最近では日本学術会議に関する話題でエコーチェンバーが発生していたことがわかっている。総理の発言を支持するグループと批判するグループの間で分断が起こり、互いの情報をほとんど参照しない状態で情報が拡散していた。

選択肢1は、フィルターバブルと呼ばれるものである。SNSシステムが利用者の嗜好や属性などに合うようなものを検索結果として表示したり、リコメンドしたりすることにより、利用者には同じ傾向のものしか見えなくなる。こうした現象はネットショップやニュースサイトなどいたるところで起きる。
ネットショップでは過去の購買履歴などの個人情報から商品にリコメンドし、ニュースサイトでは日頃の閲覧傾向などを元に表示するニュースを取捨選択する。そのため常に同じような商品、同じようなニュース、同じような意見に接し、エコーチェンバーのようにそれ以外の選択肢が見えなくなりやすい。


日本学術会議問題で浮き彫り、日本のSNS「怒りと混乱と分断」のシステム
ニューズウィーク日本版、2020年10月9日
https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2020/10/sns.php

プロフィール

一田和樹(いちだ かずき) 東京生まれ。経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。
10年、「檻の中の少女」 で島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。
著書に『女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険』『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』『キリストゲーム』『絶望トレジャー』など。
http://www.ichida-kazuki.com/ Twitter:@K_Ichida

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