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最新!世界の常識検定

サイバーセキュリティにくわしい小説家・一田和樹が出題する、ネット時代の新常識クイズ第35問!
今回は、日本も参加している「自由で開かれたインド太平洋構想」の中核メンバーであるインドの状況についてのクイズです。


インドは近年、権威主義化が進んでいる。2009年から始まった12億人以上の生体データを持つ世界最大の生体認証システムを含む国民監視システムAadhaarは、納税や福祉給付金の受け取りに必須になっている。さらに特定の州の有権者の投票権を取り上げたり、個人を特定して権利を剥奪することもデータベースを操作するだけで可能となっている。このようにインド政府はAadhaarを利用した監視強化を進めようとしている。

2019年後半、インド内務省のNational Crime Records Bureau (NCRB)は世界最大級の大規模な監視システムの導入を発表した。インドは深刻な警官不足が続いており、犯罪捜査に支障をきたしているが、このシステムで問題を解消する計画だ。データはインド国内で共有され、データベースは監視カメラだけでなく、SNSの投稿や新聞記事など一般公開されている画像、パスポート、犯罪記録などとも連携する予定になっている。このシステムは16,000の警察署、7,000の庁舎、およびモバイルアプリで使用される見込みだ。

インドでは2019年1月から10月にかけてジャーナリストや人権活動家がメールからマルウエアNetWireに感染した。ターゲットになった9人のうち3人は以前、Pegasus(イスラエルのサイバー軍需企業NSO Groupが提供しているマルウエア)のターゲットにもなっていた。


India setting up world's biggest facial recognition system(Deutsche Welle、2019年7月11日)
https://www.dw.com/en/india-setting-up-worlds-biggest-facial-recognition-system/a-51147243

Biometric facial recognition contracts from Indian government for police and railways face eligibility questions(BiometricUpdate.com、2010年7月14日)
https://www.biometricupdate.com/202007/biometric-facial-recognition-contracts-from-indian-government-for-police-and-railways-face-eligibility-questions

Citizen Lab and Amnesty International Uncover Spyware Operation Against Indian Human Rights Defenders(Citizen  Lab、2020年6月15日)
https://citizenlab.ca/2020/06/citizen-lab-amnesty-international-uncover-spyware-operation-against-indian-human-rights-defenders/

India: Human Rights Defenders Targeted by a Coordinated Spyware Operation(アムネスティ、2020年6月15日)
https://www.amnesty.org/en/latest/research/2020/06/india-human-rights-defenders-targeted-by-a-coordinated-spyware-operation/


プロフィール

一田和樹(いちだ かずき) 東京生まれ。経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。
10年、「檻の中の少女」 で島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。
著書に『女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険』『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』『キリストゲーム』『絶望トレジャー』など。
http://www.ichida-kazuki.com/ Twitter:@K_Ichida

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