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サイバーセキュリティにくわしい小説家・一田和樹が出題する、ネット時代の新常識クイズ第38問!
今回は、ファイブ・アイズについてのクイズです。


ファイブ・アイズとはUKUSA協定に基づくアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国の国際諜報同盟であり、安全保障のための情報共有を行っている。そのために全世界の通信を傍受している。各国の担当部局は諜報組織であり、アメリカでは国家安全保障局(NSA)が担当している。諜報機関の協定であるので、人権やプライバシーの尊重など民主主義的価値観に反する活動も多い。
同盟国の政治家や企業なども盗聴の対象となっていることがスノーデンやwikileaksの漏洩データから明らかになっていた。
私物の携帯電話がNSAに盗聴されていたことを知ったドイツのメルケル首相は、「我々は不幸にもファイブ・アイズではない」とコメントした。メルケルは長い間、ファイブ・アイズに参加したかったようだが、認められなかった。その後、フランスを加える案も出たが、アメリカが反対した。
カナダでトルドー政権が誕生した際には、自国民のプライバシーへの懸念から一時的に情報共有をやめる事態も起きた。

参加国は対等の立場というわけではなく、提供できる情報によって立場が異なっており、アメリカの立場がもっとも強く、その次がイギリスとなる。

近年、日本の政治家の一部から日本も参加してシックス・アイズになるべきだという発言が出ている。ただし、そのメリットは必ずしも明らかではない。たとえば日本はファイブ・アイズに対して、ロシア、中国、北朝鮮の独自情報(防衛省情報本部が傍受したもの)を提供でき、それはアメリカと共有しているが、その他の情報もすでにアメリカを通して共有されている可能性は高い。ファイブ・アイズでは参加国が同等の情報を得られるわけではないので、日本が参加してもどこまでの情報を得られるかは不明である。
日本とアメリカ双方の思惑とメリットは明らかではないが、アメリカの安全保障に関係するシンクタンクから公的なレポートが公開されるなどの動きもあり、日本のファイブ・アイズ参加を促す動きは日本以外にもあるようだ。


カナダが「Five Eyes」間データ共有を一部中止(前編) 注目と非難が集まる国際諜報同盟とは(THE ZERO/ONE、2016年2月16日)
https://the01.jp/p0001904/

日本もスパイ協定に?河野防衛相が接近するファイブ・アイズとは(FRIDAY DIGITAL、2020年08月21日)
https://friday.kodansha.co.jp/article/129286

RESOLVED: Japan Is Ready to Become a Formal Member of Five Eyes(CSIS、2020年12月8日)
https://www.csis.org/analysis/resolved-japan-ready-become-formal-member-five-eyes



プロフィール

一田和樹(いちだ かずき) 東京生まれ。経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。
10年、「檻の中の少女」 で島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。
著書に『女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険』『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』『キリストゲーム』『絶望トレジャー』など。
http://www.ichida-kazuki.com/ Twitter:@K_Ichida

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