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サイバーセキュリティにくわしい小説家・一田和樹が出題する、ネット時代の新常識クイズ第47問!
今回は、ファクトチェックについてのクイズです。


ファクトチェックとはニュースなどの情報の検証を行い、真偽を判定し、公開することである。ファクトチェックの対象はニュース以外にも社会的影響力のある人物や組織の発言など多岐にわたる。新聞社などのニュース発行主体自身やNPOなどさまざまな組織がファクトチェックを行っている。
フェイクニュースの増加とともにその重要性が認識され、増加しているが、フェイクニュースを流布している組織がファクトチェックと称して自身の正当性を示すことも起きており、ファクトチェックそのものの正しさを見極める必要がある。
フェイクニュースの対策としてファクトチェックがあげられることが多い。しかし、その効果は限定的であり、決め手にならないどころか対策としてはほとんど役に立たない。特にフェイクニュースを含んだ広範なネット世論操作作戦に対しては効果が薄い。

たとえば、ウソは事実よりも早く広範囲に広がることが研究結果からわかっている。いくら事実を公開してもウソほど共有されない。また、伝播速度がウソよりも大幅に遅いため、選挙など期間が定まっているものの場合は、正しい事実が広まる前に選挙が終わってしまうことも起こり得る。コストや時間もフェイクニュース作成よりファクトチェックのほうがかかり、読み手にも一定以上のリテラシーや機能的識字能力がないと理解してもらえないという問題もある。

また、歴史認識などの複雑かつ専門家の間でも意見が分かれるような問題の場合、「事実」認定の主体の問題=「真実の裁定者」問題がある。民主主義国家においては国民が最終的な「真実の裁定者」とされるが、そのための具体的な方法は確立されていない。

The spread of true and false news online(2018年3月9日、Soroush Vosoughi1, Deb Roy1, Sinan Aral、Massachusetts Institute of Technology (MIT), the Media Lab、Science)
http://science.sciencemag.org/content/359/6380/1146

Final report of the High Level Expert Group on Fake News and Online Disinformation(2018年3月12日、EU)
https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/news/final-report-high-level-expert-group-fake-news-and-online-disinformation

『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(一田和樹著 2018年11月10日、角川新書)

日本におけるフェイクニュースの実態と対処策(2020年3月18日、Innovation Nippon 2019)
http://www.innovation-nippon.jp/?p=815

プロフィール

一田和樹(いちだ かずき) 東京生まれ。経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。
10年、「檻の中の少女」 で島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。
著書に『女子高生ハッカー鈴木沙穂梨と0.02ミリの冒険』『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』『キリストゲーム』『絶望トレジャー』など。
http://www.ichida-kazuki.com/ Twitter:@K_Ichida

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