連載
「沖縄はどう生きるか
②元海兵隊員も反対の座り込みに参加する辺野古埋め立てと高江のヘリパッド基地 佐野眞一 Shinichi Sano

 山城の弁護人の照屋寛徳にこの判決について聞いた。
「いま、国会が森友学園の文書改竄問題で大混乱中なので、僕は判決前、集会にだけ顔を出して、すぐ東京に飛んだのですが、ひどい不当判決です。山城くんにはどんな判決が出ようとも君は立派なことをやったのだから、判決が出た後は裁判官を睨みつけろと言ったんです。とにかく三権分立の精神などこの国にはとっくになくなり、司法は完全に行政の隷属物になってしまった。森友学園問題では総理夫人の関与が浮かび上がり、自殺者まで出た。それなのに、国民は安倍政権を追い詰められない。森友問題とこの判決は結びついています。とにかく立法も行政も司法もこれほどひどい状態は前代未聞です」
 国家的大犯罪は何の罪にも問われず、金網をペンチで切断したことが執行猶予つきながら懲役刑になる。
 山城博治の不幸は、あえて言うなら、こんなとんでもない時代に、「微罪」としか思えない科(とが)で逮捕されてしまったことにある。
 森友学園の文書改竄問題につづいて、防衛省の日報隠し問題、加計学園をめぐる疑惑問題で、当時の首相秘書官との面会記録に「首相案件」と記された文書が発覚、そして財務省事務次官のセクハラ問題など、安倍内閣は完全に底が抜けた状態になってしまった。
 森友、自衛隊の日報問題と続いた連続パンチは、安倍をふらつかせるボディーブローとなり、三発目の加計問題がストレートパンチとなって、安倍を退陣させる爆弾となる可能性を帯びてきた。
 国会前は「アベ政治を許さない」などと書かれたプラカードを掲げた人々の集会が連日繰り広げられている。
 だが私から言わせれば日本のメディアの追及は甘く、現在上映中の『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』で描かれたアメリカメディアの健全さがつくづくうらやましくなった。
 今年11月の沖縄県知事選の勝敗はわからないと前述した。しかし、安倍内閣がすでにグロッキー状態なのだから、沖縄県知事選で自民党が応援する候補者が必ず勝つとはいえない雲行きになってきた。
 こうした風雲急を告げる事態を裏書きするように、翁長雄志を天敵としてきた菅義偉官房長官の人を人とも思わない傲慢な言動も影をひそめ、しどろもどろの対応になってきた。
 菅の記者会見での歯切れの悪い質疑応答は、本当は弱気な菅義偉という男の本質を曝(さら)け出している。



 
〈プロフィール〉
佐野眞一(さの・しんいち)
ノンフィクション作家。1947年、東京生まれ。97年『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2009年『甘粕正彦 乱心の曠野』で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書に、『巨怪伝』『東電OL殺人事件』『だれが「本」を殺すのか』『沖縄だれにも書かれたくなかった戦後史』『沖縄戦いまだ終わらず』など多数。
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④沖縄県人に活を入れる“琉球一の男”徳田球一、波瀾万丈の人生
③誰にも知られたくなかった沖縄の戦前の謎と戦後の闇
②元海兵隊員も反対の座り込みに参加する辺野古埋め立てと高江のヘリパッド基地
①うるま市女性暴行殺人事件傍聴記