よみもの・連載

佐藤満春トイレの輪〜トイレの話、聞かせてください〜

サトミツコラム「世界のトイレ環境と現実」

 トイレに関する記念日といえば「11月10日」(いいトイレ)の語呂合わせでトイレの日というものがある。
 僕も所属する「日本トイレ協会」が制定したもので、協会では毎年11月10日あたりの土日にはシンポジウムも開催する。一般の方でも何か「耳にしたことはある」かもしれない。
 そんな「トイレの日」がようやく浸透しかけたところでもう1日、「世界トイレの日」というものをご紹介したい。
 地球全体で考えた時、世界には「トイレ」を使えない人はいったいどのくらいいるのか?
「トイレを使うことができない」ことは現実的に想像できないかもしれない。我々は生まれてすぐの幼い頃から「トイレが使えなかった」経験はないはずなので、仕方ないといえば仕方ないか。世界には「トイレを使えない人」は実在する。この現在、今いるのだ。


 世界の3人に1人が安心安全なトイレが使えない環境で生活をしている。
 トイレがない人たちは屋外排泄をせざるを得ないというわけだ。この現実、どう受け止めればいいのだろうか? 対策はあるのだろうか?
 そんな世界のトイレ環境を考え、改善していくため、11月19日が「世界トイレの日」として制定された。
 ユニセフの資料によると世界のトイレ環境は少しずつよくなってはいる。データ上の話なのでピンとくる話かどうか。トイレを使える人の割合は1990年には49%、2015年には68%。半数を超えたのはここ20年、30年の話だからびっくりだ。
 世界の3分の1にあたる23億人は今もなお「トイレがない」状態で毎日を過ごしているという。そのうち、屋外排泄を強いられているのはおよそ9億人。屋外排泄するということは病原菌がそこを媒介にして広がっていく可能性を生む。衛生的にもなんとかしないといけないことなのだ。データによると1日に800人のこどもが亡くなっているという。

 春日さんとのトークでも出てきたが、それでもトイレがなくても離れた場所で用を足すということは「人間の尊厳」に関わることで、誰しも誰かに見られる場所で用を足したくはないのだ。
 離れたところで用を足すことで「事件事故」に巻き込まれる可能性も高まる。

 こんな状況を改善するべく「11月19日」を世界トイレの日と決め、ユニセフをはじめ様々な団体が活動を開始。様々な取り組みをするなか、目覚ましい結果を出している企業がLIXILだ。
 プラスチック製の簡易式トイレ「SATO (Safe Toilet/)」というものが開発された。
 SATOは、汲み取り式トイレとして使用でき、排水口に取り付けられた弁によって、排泄物からの臭気や、病原菌を媒介するハエなどの虫の進入を防ぎ、病気の感染を防ぐことができるというもの。こんなシンプルなものでも結果として衛生面は大きく変わってくる。
 SATOは、世界15か国以上で120万台超が使用されているそうで、まずはこういった簡易便器を世界にどんどん置いていくことによって先手を打つことができるのではないかと思っている。
 LIXILの話をしたらTOTOの話もしたいしパナソニックの話もしたいのだが、ここは「メーカー」を問わずその想いを持つものが協力して何かを成すしかないのかもしれない。地道ではあるがこういった活動がいつか実を結ぶことを期待したい。
 そしてそのトイレがたまたま「SATO」であったということにも密かに縁を感じている。
 佐藤もSATOと同様、がんばっていこう。

プロフィール

佐藤満春(さとう・みつはる) 1978年生まれ。テレビ番組等の構成作家、お笑いコンビ「どきどきキャンプ」として活動中。トイレ博士としてイベントに出演したり、トイレを研究するラジオ番組のパーソナリティーなども務める。日本トイレ協会会員。掃除能力検定士(5級)。名誉トイレ診断士。トイレクリーンマイスター。

春日俊彰(かすが・としあき) 1979年生まれ。お笑いコンビ「オードリー」のボケ担当。

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