よみもの・連載

佐藤満春トイレの輪〜トイレの話、聞かせてください〜

第2回 ノンフィクション作家・高野秀行氏

佐藤満春Mitsuharu Sato

高野
例えば日本の温水洗浄便座を輸出してもしようがないと思うんですよ。もしかしたらそれが気に入るというところもあるかもしれないけども、あれ電気も食うし、熱帯のアジア、アフリカの人たちって、昔からトイレは水を使うんですよね。日本人がウォシュレット使うより、はるかに前から水を使ってるわけですよ。よくできたものもあって、例えば普通の家庭とかのレベルですと、じょうろみたいなものでジャーとやって手で洗うとかなんですけども、それと洋式トイレを組み合わせた具合で、ホテルとかそういうところだと、ホースがあって……見たことあります?
佐藤
はいはいはい。
高野
ジャーってやって洗う、シャワーみたいなものがあって。あれなんかはすごくよくできてると思うんですよ。女性のビデとの兼用で使えてすごく優れてて、むしろあれを日本に導入してもらいたいぐらいなんですけど。というのは、あれでトイレ掃除ができるんです。
佐藤
そっか、かなり水圧も強いですもんね。
高野
水圧を調節できるんですよね、握りで。自分の都合に合わせて。
佐藤
使い方次第ですもんね。
高野
日本の家庭のトイレって掃除したときに水で流せないから不便だなと思うんですよ。トイレ用洗剤とか使って泡立てたはいいけど、その後、また拭かなきゃいけないでしょ。
佐藤
そうですね、はい。
高野
あれがすごいめんどくさくて、ホースのやつがあれば、きれいになっていいのになとかね。でね、そのホースシャワーというのはすばらしくてですね、外国のバスルームってトイレとシャワーがセットになってることが一般的じゃないですか、欧米式でね。
佐藤
ええ。
高野
するとね、シャワーが壊れてたり、水量がすごく少なかったりっていうことが多いんです。体洗っても、たらたらたらぐらいしか出てこなくて困るというときには、そのトイレのを持ってきて、こうやって素っ裸でしゃがんでジャーってやるとものすごい効率的に体が洗えるんですよ(笑)。
佐藤
めちゃくちゃ勢い強いんですよね。
高野
そう。この話、いつか誰かに言おう言おうってずっと思ってたのに、帰ってくると忘れちゃうので、今日初めて言います。
佐藤
すごい、うれしい。
高野
あれはね、しゃがんでやらなきゃいけないっていう馬鹿馬鹿しささえ忘れることができたらすばらしいですよ。
佐藤
お尻も洗えるし、体も洗えますよという。いろんな用途に合わせて使えると。
高野
そういういいものも、現地にはあるわけです。あと、お年寄りとか、病気の人とかはしゃがんでやるのがつらい。
佐藤
足腰が弱っているとね。
高野
そうそう。だから台みたいなのを置いてあったりするんだけれども、じゃあもっと何か新しい便利なものができるといいんじゃないかと思います。
佐藤
なるほど。
プロフィール

佐藤満春(さとう・みつはる) 1978年生まれ。テレビ番組等の構成作家、お笑いコンビ「どきどきキャンプ」として活動中。トイレ博士としてイベントに出演したり、トイレを研究するラジオ番組のパーソナリティーなども務める。日本トイレ協会会員。掃除能力検定士(5級)。名誉トイレ診断士。トイレクリーンマイスター。

高野秀行(たかの・ひでゆき) 1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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