よみもの・連載

佐藤満春トイレの輪〜トイレの話、聞かせてください〜

第2回 ノンフィクション作家・高野秀行氏

佐藤満春Mitsuharu Sato

排泄=恥ずかしいは世界共通?

佐藤
僕ちょっと、きょう高野さんに一つ質問したかったことがありまして、ずっと結論が出てない話なんですけど、排泄をすることが恥ずかしいっていう意識ってあるじゃないですか。
高野
ええ。
佐藤
例えば音を聞かれたくないとか、トイレに行くこと自体を知られたり、見られたりするのが恥ずかしいとか。そういうのって、高野さんが行かれてるような国の皆さんも普通にそう思っているものなんですか。人間のそもそも持っている先天的な感情なのかなと。中国とかだと、向かい合ってするみたいな話もあるじゃないですか。
高野
どうなんだろうな、例えばインドなんかでは、みんな浜辺とかに並んでしてて、腰巻き着けてるんで見えないわけですよね、してるところは。
佐藤
なるほど。
高野
だから、そこが見えなければいいという考え方ですよね、あの人たちは。
佐藤
そういうことか。
高野
そういう人たちもいるし、アフリカの人なんかは見られないように茂みに入っていくし、僕が一時期住んでたミャンマーの村なんかもトイレがなくて、やっぱみんなその辺の茂みに入っていくんですけども、ちゃんと茂みには入るわけですよ。で、僕も茂みに入っていくと、やっぱりよさげなところっていうのは……。
佐藤
なるほど、かぶっちゃうんだ。
高野
近所のおばちゃんがしゃがんでるところにばったり出くわしたり。でも後々考えると、なぜかおばちゃんとかおっさんにしか出くわしたことがなくて、村には若い娘もたくさんいるのに、なぜか若い娘に出くわしたことがないんですね。
佐藤
はい。
高野
ってことは、若い娘はもっと恥ずかしいという気持ちが強くて、もっと奥まで行って、絶対に他人と会わないようにしてるのかなって後で思いましたけどね。
佐藤
誰も来ないようなところまで行ってから。
高野
そう。年をとってくると、どんどん手前におりてくる(笑)。もう別にいいやって、めんどくさいからって。
佐藤
日本に住んでてもトイレの鍵をかけないおばちゃんとかと一緒の感覚かもしれないですね。
プロフィール

佐藤満春(さとう・みつはる) 1978年生まれ。テレビ番組等の構成作家、お笑いコンビ「どきどきキャンプ」として活動中。トイレ博士としてイベントに出演したり、トイレを研究するラジオ番組のパーソナリティーなども務める。日本トイレ協会会員。掃除能力検定士(5級)。名誉トイレ診断士。トイレクリーンマイスター。

高野秀行(たかの・ひでゆき) 1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

Back number