連載
夫婦で行く 東南アジアの国々
「夫婦で行く 東南アジアの国々」 清水義範 Yoshinori Shimizu
第二章 タイ(上)

 東南アジアの第二国目、タイへの旅は二〇一三年十一月のことだった。
 第一日目は午後四時半頃にバンコクに着き、入国審査などして六時から、四時間のバス移動をしてナコンラチャシマまで行くのだった。ミャンマーと違ってバスに日本の会社名が書いてあるようなことはなく、アニメ調の派手な絵が描かれたバスだ。
 ナコンラチャシマはバンコクから東北東へ約二百六十キロメートル行った、タイ東北部(イーサーン地方)の玄関口にあたる都市である。東北部の遺跡を観光するためにはここに宿泊するのが都合がいいらしい。
 ホテルに着いたのは午後十時で、遅いにもかかわらず食事が出るということだったが、私たちは飛行機に次ぐ長時間のバス移動で疲れていたので、食事はパスして部屋に入って休んだ。
 二日目はナコンラチャシマから一時間半ほどのピマーイ歴史公園の見物から始まった。
 イーサーン地方は北イーサーンと南イーサーンに分かれる。私たちが訪れた南イーサーンは様々な古い遺跡が点在しているのだが、その多くは千年ほど前のもので、この地方にはクメール時代の遺跡が多く、様式もクメール様式である。クメール王朝というとカンボジアと思いがちだが、クメール王朝は九世紀から十五世紀までだが、十世紀から十三世紀頃までは今のインドシナ半島の大部分を支配する大帝国だったのだ。したがってタイのイーサーン地方はアンコールワットにも近く、クメールの寺院が数多くあることは不思議ではないのだ。
 ピマーイ旧市街は南北約五百メートル、東西約三百メートルの城壁で囲まれ、この城壁内にタイ最大といわれるクメール寺院遺跡があり、ピマーイ歴史公園として整備されている。
 ピマーイ寺院遺跡は十一世紀前半アンコール朝のスーリヤヴァルマン一世の時代に完成しており、アンコールワットより一世紀ほど古い。タイのアンコールワットとも言われ、アンコールワットのモデルになったとも考えられている。

ピマイ歴史公園の寺院


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〈プロフィール〉
清水義範(しみず・よしのり)
1947年10月28日名古屋市生まれ。愛知教育大学卒業。81年『昭和御前試合』でデビュー。88年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。奇抜な発想とユーモアを駆使した小説やエッセイを次々と発表。著書多数。
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