連載
夫婦で行く 東南アジアの国々
「夫婦で行く 東南アジアの国々」 清水義範 Yoshinori Shimizu
第六章 マレーシア(上)

 七月にマレーシア旅行に行くことになった。このところ春先と秋に東南アジアの国を巡っていたが、マレーシアは常夏の国なので、何月に行ってもどうせ暑いだろうという判断をしたのだ。二〇一六年のことである。
 マレーシアはマレー半島とボルネオ島北部を領土としているが、今回行くのはマレー半島部分だ。ボルネオ島はリゾートと自然が観光の中心となるところで、遺跡や歴史好きの私たち夫婦には向かないからである。
 七月十三日成田空港を夕方の便で出発。二十三時三十五分にクアラルンプールに到着。現地ガイドのトニーさんに迎えられてバスでホテルに向かう。深夜二時にやっとホテルに到着。
 この旅行は、私たちがいつも利用しているツアー会社のものではなかった。その会社にマレーシアだけに行くコースがなかったからである。それで、いつもよりちょっと安いツアーだった。そのせいか、ホテルで、スーツケースを自分で部屋に運ばなければならなかった。しかし、それはそう大した苦ではない。それより、ホテルが禁煙ルームだったのが、私にはつらかった。この旅行ぐらいから、私はホテルの禁煙をきっちり守ることにしたからだ。つらくなるとホテルの入口から外に出て一本か二本吸う。それで我慢した。
 ホテルに着くまでにガイドのしてくれた話。
 ラマダン(断食月)が終わったばかりで、一週間の休みがあり街にはまだお祭り気分が残っている。
 マレーシアは年間を通して気温が二十七度から三十三度くらいだそうだ。どうせ暑いんだからと、みんな天気予報を見ないのだそうだ。でも雨は降るのだから天気予報が必要ではないかと思うのだが、雨期、乾期にかかわらず毎日スコールが降り、すぐやむという気候なのであまり気にしないのかもしれない。
 マレーシアは多民族国家でマレー系(六七パーセント)、中国系(二五パーセント)、インド系(七パーセント)が住む。マレー系のなかにはさらに多くの民族が含まれている。
 したがって宗教も、イスラム教、仏教、キリスト教、ヒンズー教、儒教、道教、シーク教など多くの宗教が混在している。イスラム教が国教だそうだ。
 言語もマレー語(国語)、中国語、タミール語、英語などが話され、英語が共通語として使われている。
 通貨はリンギットで、この旅の時一リンギットは二十九円だった。物価は安いそうだ。土産物屋ではドルが使える。
 ガイドが、アルコール類は高いです、と強調する。ビールはコンビニでは三五〇ミリリットル缶が三百円、レストランで頼むと一本千円くらいすると言うのだが、旅が進んでみるとそれ程ではなく、今まで回ってきた東南アジアの国と比べれば確かに高いが、日本と同じくらいだということがわかった。
 自動車は高いらしく、トヨタのカムリは五百万円すると言っていた。その価格は2LDKのマンションが買える価格なのだそうだ。
 お土産におすすめなのが錫(すず)製品とナマコ石鹸で、錫製品は熱伝導率がよく、冷蔵庫で冷やしておくと、とても冷たく飲物が飲めるそうだ。またナマコ石鹸は肌がつるつるになるのだそうで、マレーシアの国王も使っているのだとか。香りのつけてあるものとないものがあり、日本人には香りのないものがおすすめだそうだ。



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〈プロフィール〉
清水義範(しみず・よしのり)
1947年10月28日名古屋市生まれ。愛知教育大学卒業。81年『昭和御前試合』でデビュー。88年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。奇抜な発想とユーモアを駆使した小説やエッセイを次々と発表。著書多数。
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第六章 マレーシア(下)
第六章 マレーシア(上)
第五章 カンボジア(下)
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第四章 ベトナム(下)
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第三章 ラオス(下)
第三章 ラオス(上)
第二章 タイ(下)
第二章 タイ(上)
第一章 ミャンマー(下)
第一章 ミャンマー(上)