 |
|
|
|
 |
 |
3)直島(なおしま)にて |
物を見る時、私たちはどこか無理をして、それらしく、見ようとしていないだろうか。つまり、これは世界遺産だから、貴重なものだから、きっとすばらしいとか、ピカソの絵は巨匠と呼ばれる人が描いたものだから価値があるとか。
もちろん絵画などは知識で見るという部分も必要とされ、画家の生涯を知っているからこそ、その絵の価値がわかる(ゴッホのように) ということもある。
しかし、観光地へ行き、多少ゴミ箱が汚いけど目をつむって、他が綺麗だからいいやとか、せっかく苦労してここまできたのだから、感動しておかないともったいないと思ったりしないだろうか。
いいものはいい、だれがなんと言おうと自分の価値観ですばらしい感動を得る。それも妥協なく、自分の感性でホントにすばらしいと思ってみたいものである。
京都へ行き、電信柱や鉄筋のマンションがある日常生活部分には目をつぶり、「まあ、せっかく京都にきたのだから」ということで、古いお寺だけを見る限定空間古都の旅で終わってしまうケースも多いものだ。
無駄なものや余計なものがなく、心から、古都を楽しめる場所など、ごく限られてしまっている。
金沢のひがし茶屋街へ行っても、その限定された通りだけがなんとか保存と保護をされ、一本通りをはずれると、普通の民家になってしまう。
日本の観光地や歴史名所は、有名なごく一部だけが残り、町全体が保存されていない。でかい看板やら、コンビニ、ファミレスもないというような場所は、まず存在しないと言ってもいい。
そういう意味では、ほとんどの観光地が、どこか無理して、空間限定型観光地を作っているに過ぎない。
360度どこを見ても、その場にふさわしいものだけに囲まれていたい。それが実現できる場所が実は「ベネッセアートサイト直島」である。
|

港のカボチャが出迎えてくれます。 |
|
 |
〈プロフィール〉 |
1952年山梨県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。同大学第二内科助教授を経て作家に転身。医学博士。専門は神経内科。著書に「使命を忘れた医者たち」「医者がぼけた母親を介護する時」「もの忘れを防ぐ28の方法」等著書多数。
著者ホームページ
http://yoneyone.com |
 |
|
 |
|
|
 |