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14)帆船で時空間の旅 |
世の中で一番広いところと言えば、地球上である限り、普通は海と思うだろう。空という意見もあろうが、空の先は宇宙であるから、地球上ということなら、やはり「海は広いな大きいな」ということになる。
私は大学病院を辞めて10年経つが、大学病院を辞めたと同時(というより、横浜の出港の日に合わせて大学病院を辞めたのだが)に、イギリスの大型客船に乗って、40日間のクルーズに出かけた。
船上医学ミステリーを書くということで、某出版社からお金を出してもらい(今じゃそんなことはあり得ないが)、取材のために乗ったのだ。
その船に乗るまで、海が好きでもなければ、船オタクでもない、ただ単に発想として、限定空間を作るには、船の上がいいだろうということだけだった。
クルーズに出かけてみると、事件も起きない(当たり前か)し、皆、毎日、社交ダンスはしていないし、タキシードにカクテルドレスでディナーでもない。実に平穏で、時には退屈で、豪華絢爛でもない、それでいて不思議な世界があることを知った。
こんな面白い世界を知らないのはもったいないと思うようになり、日本に戻ると、船上ミステリーは書かずに、世界中の海に行き、いろんな客船に乗って、自称クルーズ評論家になってしまった。
いろいろな船に乗ってきて、クルーズこそ最高の空間体験の場であると確信するようになった。
で、今回は初めての帆船でのクルーズとなった。 |
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(帆船)マスト登り。 |
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〈プロフィール〉 |
1952年山梨県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。同大学第二内科助教授を経て作家に転身。医学博士。専門は神経内科。著書に「使命を忘れた医者たち」「医者がぼけた母親を介護する時」「もの忘れを防ぐ28の方法」等著書多数。
著者ホームページ
http://yoneyone.com |
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