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28)ホテルの部屋という空間 |
「ホテルで缶詰になって原稿を書く」これは、一般の人にとっては一種のあこがれがあるかもしれない。
多くの文豪(もはや死語)たちは定宿で、原稿を書いていた。そんな原稿など自宅で書けばいいではないかと思うかもしれないが、おおげさなことではなく、空間というものが思考に非常に影響するのだ。
自宅という平常空間では、原稿を書くというある種の異常な状態(まあ、それほどでもないかもしれないが)を作り出すのが難しいのだ。
作家によっては喫茶店で書ける人もいれば、電車の中でも大丈夫という人もいる。
私の場合は原則どこでもノートパソコンさえあれば書けるのだが、集中して1日50枚書こうとなると、自宅ではなかなか書けない。
というのも、家で書いていると、「米山さん宅配です」と物が届いたり、「新聞の集金です」とやってきたり、外で子供がボールを蹴っている音が気になったり、最後にはカラスも鳴いて大騒ぎになって、集中力を欠いてしまう。
というわけで都内の赤坂にある、いつも私が原稿書きに使っているホテルに泊まることにした。一人合宿と自分では言っているのだが、3泊4日くらいで100枚の原稿が目標である。 |
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気分は文豪。 |
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〈プロフィール〉 |
1952年山梨県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。同大学第二内科助教授を経て作家に転身。医学博士。専門は神経内科。著書に「使命を忘れた医者たち」「医者がぼけた母親を介護する時」「もの忘れを防ぐ28の方法」等著書多数。
著者ホームページ
http://yoneyone.com |
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