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連載
空間散歩
Illustration by 米山公啓
「脳がいきいき空間散歩」第32回 米山公啓
32)天地がひっくり返る場所
 空間体験にぴったりの場所だとは思っていたが、なかなか行くチャンスがなかったのが「養老天命反転地」というところだ。
 先日、愛知県での講演会があり、その翌日、「養老天命反転地」へ向かった。
 名古屋から岐阜県大垣駅まで行き、養老線に乗り換え、養老駅で降りる。
 途中、養老線の車内に高校生が自転車を持ち込んで乗って来たのには、驚かされた。
 赤字路線なのだろう、なんとか乗客を増やしたいという思いが伝わる。
 養老駅で降りたのは、私を含め3人。日曜日の午後で天気もいい日なのにである。さらに1週間くらい前にはテレビで「養老天命反転地」が紹介されていたのに、お客を集めるのは大変なようだ。
 駅前にタクシーが停まっていたので、「天命なんとかというところへお願いします」と言おうと思ったら、運転手が車の中にいない。駅の横にタクシー会社があり、そこにいるのではと思い、会社まで行くと、お弁当を食べていた。
「ああ、そこね、近いから、歩いたほうが早いよ」とつれない返事。
 しかたなく、結構寒い日だったが、駅前にあった唯一の看板に描かれていた「養老天命反転地」のおおざっぱな場所だけ覚えて、歩き出す。
 結構な坂道で、途中、どこにも看板やら矢印がない。人はまったく歩いていない。どっちへ行けばいいのか訊きようもなかった。タクシーに乗ればよかったと思ったが、どうにもならない。
 駅から結構、上ってきたので、今さら引き返すのは大変。しょうがないので、人に訊いてみようと思い、子供が遊んでいる公園のようなものがあったので、入り口まで行くと、その公園の奥に「養老天命反転地」があることが判明。ということで、ようやく入り口にたどり着く。
転んでもオブジェ。

転んでもオブジェ。


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〈プロフィール〉
1952年山梨県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。同大学第二内科助教授を経て作家に転身。医学博士。専門は神経内科。著書に「使命を忘れた医者たち」「医者がぼけた母親を介護する時」「もの忘れを防ぐ28の方法」等著書多数。
著者ホームページ
http://yoneyone.com

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第36回
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