ぼくはランブラス通りにむかった。港のほうから、生温かい霧があがってくる。ホテル・オリエンテにならぶ窓のきらめきで、霧はくすんだ黄色にぼんやり染まり、道ゆく人びとが、蒸気で描いた線のようにかすんでいく。
第一幕 呪われた者たちの都 上巻/P51