まさに、今が旬の歴史時代作家!矢野隆 琉球建国記

『琉球建国記』 2022年4月21日発売
定価:924円(税込)
文庫判/424ページ
カバーデザイン:目ア羽衣(テラエンジン)
イラストレーション:ケッソクヒデキ
ISBN : 978-4-08-744378-3

叛逆のカリスマ 阿麻和利VS 神謀のフィクサー 金丸

15世紀、琉球王国。勝連半島の無頼漢の赤や氷角たちと役人の加那は、立場を超えて仲間となり、民衆に悪政を強いる勝連城主を倒した。新たな按司となった阿麻和利(加那)は、活発な交易で繁栄をもたらす。一方、王位を巡る内乱を経て国王となった尚泰久と側近の金丸は、彼らの活躍に脅威を感じ、失脚させるための計略をめぐらす──。

琉球王朝の興亡を再構築し、それぞれの熱い生きざまを描く長編。

反響続々!

これは琉球版『水滸伝』だ!

戦の物語、いわば国盗り物語として非常に面白い。
まるで梁山泊の人々のことを読んでいるような開放感がある。

──小説家・今野敏さん(特別対談より)

まず目を惹かれるのは登場人物たちの「恰好」よさ。

本書に登場する人々はいずれも己の道を突き進む好漢揃い。
忘れてはならぬのは本作が十五世紀沖縄の史実を背景に描かれている事実で、歴史を血沸き肉躍る物語に換骨奪胎する矢野氏の巧みさには、改めて脱帽せずにはいられない。

──小説家・澤田瞳子さん(本書解説より)

ページを捲る手が止まらない。

まるでヤンキー漫画のような殴り合いから始まる加那のストーリーは気持ちよく、策謀にまみれた金丸のストーリーは重苦しい。作者の特色がよく出た、迫真の戦闘シーン、激動の中で成長していく氷角に託されたもの、多数の人物が織り成すドラマなど、読みどころが満載。ただごとではない熱気を感じる、渾身の歴史小説なのだ。

──書評家・細谷正充さん(「青春と読書」5月号 書評より)

日本人の知らない、島津侵攻以前の海洋国家、琉球。
慟哭と歓喜。友誼と仇敵。激情と紅涙。

頁を捲らせ、巻を置かせぬ妖力にあふれた武侠歴史長編が、いま誕生した。

──ライター・山田裕樹さん

琉球史に新たなるピカレスクロマン誕生!?

のっけから琉球史の常識を覆す展開に驚き……。
金丸の陰謀、阿麻和利の律義さの裏に隠された野望、護佐丸の無邪気さ&無骨さ、尚泰久の小心ぶり。
古琉球史上、有名な英傑たちが著者の筆によって全く別の姿で描かれる。視点を変えると見慣れてきた古琉球の世界が、こうも違って見えてくるものなのか!?
金丸の手によって、琉球史上最大の政変・クーデターの幕が切って落とされた。

──沖縄本ソムリエ・宮城一春さん

男が男でならねばならなかった時代の英雄たちは、矢野さんの描くような、生きる力に満ち溢れた恰好良い男たちだったはず。
スタイリッシュでいながら、どこか懐かしい。

矢野さんの作品は、武蔵や幸村の活躍に心躍った、歴史小説を読み始めた子供の頃の気持ちを、いつも思い出させてくれます。

──書店員・市川淳一さん(丸善ラゾーナ川崎店)

NEW!

沖縄の歴史に親しむなら、まずはここから。

琉球がヤマト(日本)とも明(中国)とも違う王朝と歴史を持っていたことがリアルにわかる。15世紀、尚巴志の息子の泰久による琉球統一を描くのだが、勝連城主の阿麻和利を主人公に描いたところがポイントだ。ぼくは阿麻和利について野心家の悪人というイメージを持っていたが、本作ではまったく逆。先取の気概にあふれた心優しいリーダーである。悲劇ではあるのだけれども、阿麻和利の仲間たちの描き方が爽やかで気持ちいい。舞台となった中城や勝連の城跡を再訪したい。

──書評家・永江朗

NEW!

ページをめくる指先が火傷しそうな一冊だ。

歴史書のごとき固く整ったタイトルを大きく裏切る、豪傑たちの漲る覇気と熱く奔る躍動感。
琉球の史実が小説家の想像力と剛筆で活き活きと甦る圧巻の本作は同時に、小説を武器に、コミック、映像作品、ゲームetcを相手に真っ向勝負を仕掛け、そのどれよりもひとびとの退屈や憂いを片っ端から蹴散らすことを証明せんとする、矢野隆の心意気がまぶしいほどに顕れた作品でもある。
沖縄の本土復帰50周年の節目に様々な関連書が刊行されているが、熱く激しいロマンで本作の右に出るものはないだろう。

──書店員・宇田川拓也(ときわ書房本店)

【著者情報】

矢野隆(やの・たかし)

1976年福岡県生まれ。2008年「蛇衆綺談」で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年、同作を『蛇衆』と改題して刊行。21年『戦百景 長篠の戦い』で第4回細谷正充賞を受賞。時代・歴史小説を中心に執筆し、人気ゲームやマンガのノベライズも手がける。著書に『慶長風雲録』『斗棋』『山よ奔れ』『至誠の残滓』『源匣記 獲生伝』『とんちき 耕書堂青春譜』『さみだれ』「戦百景」シリーズなど。