『みちびきの変奏曲』内山 純

みちびきの変奏曲

あらすじ

ちいさな優しさが、人と人とをつないでゆく。
癒しと再生のミステリー。
通り魔に襲われて亡くなった女性・清藤真空。その最期を看取った人材派遣会社の社員・棚橋は、死の間際の彼女のメッセージの意味を知るため、真空にゆかりのある人々を訪ねてゆく。建築士、音大生、児童養護施設の園長……真空が遺した「きらきら星」のメロディに導かれるように、それぞれの人の大切なもの、そして真空のこれまでの人生と想いが次第に見えてきて……。

2022年11月18日発売
定価:616円(税込)
カバーデザイン:坂野公一(welle design)
作品制作:経塚真代
ISBN:978-4-08-744459-9

応援声続々!

ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シは、1音として存在しても、人の心を動かしませんが、音が連なってメロディーが生まれ、やがて怒涛のような「変奏曲」となって人の魂を動かします。
「みちびきの変奏曲」を読了したあと、ひとりだとちっぽけな人間も、連なることで、社会を小さくでも変えられる、何かがきっと「訪れ(音連れ)る」――そんな希望が、じんわりと心を温めてくれました。誰もが不安と孤独を抱える時代に、音楽がそっと魂に触れるようなやり方で、心を癒してくれる小説です。

大野和士さん(指揮者)

読み始めてから、きらきら星の変奏に誘われるように、一気に読了しました。小説の主人公たちは、いわゆるヒーローではなく、社会の片隅にいて、どこかに凹凸があり、他人とかかわるのに少し不器用で、でも空の星に手を伸ばすように、他人とかかわりたいと願っていて、哀しいほどに一生懸命であり。。。わたしたちの中には、実はその誰かの分身がいて、それがゆえに、作者の温かい視線と愛情に、居心地が良い気持ちになります。通り魔事件という、悲劇が発端のストーリー。それでも主人公たちが一生懸命癒してくれたのは、読者である自分だったことに気づかされました。

大野ゆり子さん(エッセイスト)

「キラキラ星」が人から人へ繋がっていく。
小さな頃の馴染みの曲が優しく広がって読み終えた後も口ずさみたくなります。

コメリ書房鈴鹿店 森田洋子さん

「個性的であれ」という時代で「個性(色)がないことが個性だと…」「あなたはたくさんの人を受け入れられる」
そうこの本が伝えてくれています。
こんなに読み終わったあと人の話をきちんと聞こうと思ったのははじめてです。
“やさしい気持ちになる”ってこのことだろう…と。

TSUTAYAイオンタウン館山店 新藤幸代さん

ほんのひとことが、ちょっと差しのべた手が、めぐりめぐって、誰かと、そして自分の救いになっていく。
自然と前を見て、生きていく力が湧いてきた。「ドドソソララソ」とずっと口ずさみたくなる。
“この1冊”そのものが、私をあたたかく、やさしく包みこんでくれた。

東京旭屋書店新越谷店 工藤雅子さん

著者プロフィール

内山 純(うちやま・じゅん)

1963年神奈川県生まれ。立教大学卒。2014年『B(ビリヤード)ハナブサへようこそ』で第24回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(後に『ビリヤード・ハナブサへようこそ』と改題して文庫化)。
彩り鮮やかな人物造形と心地良い読後感が魅力的な新鋭。
他の著書に『新宿なぞとき不動産』『土曜はカフェ・チボリで』がある。