天明3年(1783)浅間山の大噴火によって母を亡くし、天涯孤独となった貧しい少年・駿。
彼は同い年の親友・涼とともに文武の修業に励んでいた。ある日、病で死の淵に立つ涼の母親を助けるために、医者を訪ねる。しかし、金のない者は診察すらしてもらえない。
そんな不条理に憤った彼は、弱き者を守るために、江戸一番の医者を目指すーー。情けは人の為ならず! 青春時代長編シリーズ、第1弾。
小説家・坂井希久子氏
(「居酒屋ぜんや」シリーズ)
オススメ!
いつの時代も、社会のひずみに苦しめられるのは弱者である。日本の子供は、今や七人に一人が貧困状態にあるという。この社会構造を、どうにかしなければいけない。汗水垂らして働く人が報われないなら、いったい誰が報われるべきなのか。
そんな熱い思いこそが杉山大二郎の中で燃える情熱の正体であり、彼を小説に向かわせる原動力なのではあるまいか。(解説より)
登場人物紹介
上野国(現在の群馬県)の農村に生まれた貧しい小作農の子ども。
物心つく前に父を流行病で亡くし、母ひとり子ひとりで暮らしている。
駿と同い年の親友。文武両道で「神童」といわれている。
茜(あかね)
駿と涼の幼馴染。彼らのひとつ下。村名主の三女。
田村梨庵(たむらりあん)
江戸からやってきた謎の鍼灸師。
幼い頃に父と母を亡くし、貧しさと戦ってきた17歳の駿。
誰よりも辛く苦しい経験をした彼は、弱き者を守る医者になるべく、江戸にある日本一の講習所”杉坂鍼治学問所”に入所する。
腕は確かだが、偏屈で守銭奴の間市についた彼は、間市が患者の命よりもお金を優先する姿勢に疑問を抱く。
そんな中、余命幾ばくもない吉原の元遊女とその息子に出会いーー。青春時代長編シリーズ、第2弾。
「勃たないのでございます」
あの蔦屋重三郎がそう言って、江戸一番の医者になるために修業中の駿のところへやってきた!
師匠の間市は“陽萎”として治療を施すが、まさかの展開に(第1章)。3年間の修業を終え、ついに自身の病院を開いた駿。
すると、次々と訳アリの人たちが訪れて!?(第3章)など、ユニークな発想で描く、一風変わった時代小説。
感動と学びが詰まった大人気シリーズ、第3弾。
著者からのメッセージ
「辛いことは、誰かと分けると半分に減るんだ。だけど、幸せなことは、誰かに分けても倍に増えるんだよ」
これは主人公・駿の言葉です。これまでにたくさんの人たちが、私を助け、そして支えてくれました。そのおかげで、私はこうして小説を書くことができています。
駿も、目の前に困っている人がいたら、少しも迷うことなく手を差し伸べ、一生懸命に助けようとします。みなさんもぜひ一緒に、駿のことを応援していただけると嬉しいです。
著者情報
杉山大二郎(すぎやま・だいじろう)
1966年東京都生まれ。大手IT企業に25年勤めた後、独立。執筆活動を本格的に始める。著書に、江戸の剣客商いシリーズ「さんばん侍」、『信長の血涙』、「大江戸かあるて」シリーズ、営業マンとしての経験を生かしたビジネス小説『至高の営業』『営業を仕組み化し、部下のやる気を最大化する、最強のチーム創り ザ・マネジメント』などがある。