

「豚は太らせて食え」
戦後、好景気に沸く日本の政財界を裏で操る女性占い師がいた。
すべてはあの男への復讐のため――。
経済小説の旗手が紡ぐ戦慄のサスペンス。
昭和二十九年。赤坂にある東京最大級のナイトクラブ「ニュー・サボイ」でホステスとして働きだした貴美子は、ただならぬ雰囲気をまとう男・鬼頭清次郎と出会う。先生、と呼ばれる彼に「いつか占い師として生計を立てたい」と告げた貴美子は後日、大邸宅に招かれ——。戦後、高度経済成長に向かう日本の政財界の裏側で、ひとりの女性が〝ある恨み〟を抱えてのし上がっていく姿を描く圧巻の復讐劇。
2025年4月18日発売
1,210円(税込)
文庫判/536ページ
ISBN:978-4-08-744757-6
【青春と読書2025年5月号に著者エッセイが掲載!】
【著者プロフィール】
楡周平(にれ・しゅうへい)
1957年生まれ。米国系企業在職中の96年に書いた『Cの福音』がベストセラーになり、翌年より作家業に専念する。ハードボイルド、ミステリーから時事問題を反映させた経済小説まで幅広く手掛ける。著書に「朝倉恭介」シリーズ、「有川崇」シリーズ、『ぷろぼの』『国士』『デッド・オア・アライブ』ほか多数。
【大好評発売中! 楡周平の本】

黄金の刻 小説 服部金太郎
洋品問屋の丁稚は、いかにして「東洋の時計王」になったのか。
経済小説の名手が贈る、世界的時計メーカー「セイコー」創業者・服部金太郎の一代記。
明治七年。十五歳の服部金太郎は、成長著しい東京の洋品問屋「辻屋」の丁稚として働いていた。主人の粂吉は、金太郎の商人としての資質を高く評価し、ゆくゆくは妹の浪子と結婚させ、金太郎を辻屋の一員として迎え入れようとする。だがそんな思いとは裏腹に、金太郎は、高価ゆえに持つ人の限られていた「時計」に目をつける。鉄道網の発達により、今後「正確な時間」を知ることの重要性が高まると見抜いていたのだ。いずれは時計商になりたいという熱い想いを粂吉に伝えるが――。
2024年2月20日発売
990円(税込)
文庫判/456ページ
ISBN:978-4-08-744615-9

終の盟約
認知症介護、終末医療、財産分与争い。それは明日、あなたの身に降りかかるかもしれない。
内科医の輝彦は妻の絶叫で目覚めた。父の久が風呂場を覗いていたと言うのだ。不可思議な言動から父の認知症を確信した輝彦は、元医者の久が作成していた事前指示書に従って旧友が経営する病院に入院させるが、ほどなく亡くなってしまう。あまりの急さに呆然とする家族だったが、そこにはある盟約が隠されていた。家族が、あなたが、認知症になったらどうする? 命の尊厳と向き合う傑作長編。
2022年8月19日発売
1,155円(税込)
文庫判/504ページ
ISBN:978-4-08-744420-9

砂の王宮
戦後、闇市で薬屋を営んでいた塙太吉。持ち前の商才で流通業界最大の企業を造り上げるが、ある事件に巻き込まれ……。高度経済成長を支えた流通王の栄枯盛衰を描く傑作経済小説!
戦後、復興へ向け活気に溢れる神戸の闇市で薬屋を営んでいた塙太吉。進駐軍の御用聞きをしている深町の戦略的な提案に乗り、莫大な儲けを手にする。その勢いで、スーパーマーケットを開業し、格安牛肉を武器に業績を飛躍的に向上させた。全国展開への道を順調に進むが、ある事件をきっかけに、絶体絶命の局面に……。日本が世界経済の中心に躍り出た激動の時代を支えた男を描く圧巻の経済小説。