カッコウ、この巣においで   

富良野馨

京都で孤独に作陶を続ける高義は、土を採りに入った山中で、傷だらけの少年と出遭う。少年は駆と名付けられ、いつしか師匠と弟子として、寝食を共にするように。親から愛されずに育った駆にとって、初めて手にした安穏だった。しかし、高義の実の息子が帰ってきたことで、状況は一変。居場所を失いたくない駆の心は、徐々に暴走し始め――。三人が一つの巣で暮らすことは叶うのか。濃密な家族小説。

2024年10月18日発売
935円(税込)
文庫判/368ページ
ISBN:978-4-08-744706-4

辛い描写もあるが、読後感は温かで清々しい。

作者が登場人物の「かそけき音」に真摯に、

誠実に向き合っている、優しくて骨太の極上の物語だ。

どうか皆様も「この巣においで」とカッコウを呼び、

軽やかでかそけき音を聞いてほしい。

【著者情報】

富良野馨(ふらの・かおる)

京都府在住。『少女三景―無言の詩人―』で第2回ウィングス小説大賞優秀賞を受賞。2016年『雨音は、過去からの手紙』でデビュー。20年『真夜中のすべての光』で講談社NOVEL DAYSリデビュー小説賞を受賞しリデビュー。著書に、『世界の端から、歩き出す』『この季節が噓だとしても』など。