【内容紹介】
異形家の食卓
田中啓文
国際会議のため来日した、ゾエザル王国の外務大臣・ジュサツ。
独裁国家に対する強い風当たりにもめげず、常に笑顔をたやさない彼を癒す、
おぞましいストレス解消法。
つぶれかけたフレンチ・レストランを救った、魅惑の食材の正体。
一家団欒のテーブルで告白される、悪食の数々など、全11篇。
異才が贈る、駄洒落×ホラー×グロテスクのフルコースを召し上がれ。
「異形家の食卓」は思い入れ深い短編集である。この変なタイトルは、
井上雅彦さんのアンソロジー「異形コレクション」初出が多かったのと、
当時の人気番組「伊藤家の食卓」を合わせて、我孫子武丸さんが命名した。
筒井康隆さんの帯をいただいたことも忘れ難い。
とにかく突出したインパクトのあるホラーを書きたい、と思っていた私は、
その頃大ヒットしていた女性向けの分厚いホラーコミック雑誌の一冊を手にした。
たまたま開いたところが犬木加奈子さんの短篇で、
見開きの絵の凄まじいインパクトに、小説でもこういうのをやりたい! と思った私が
そのことをあるホラー小説家に言うと、
「小説とマンガは違うのだから、小説でそんなことをする必要はない」との返事だった。
いや、そうか……? 私はチャレンジしてみることにした。
その結果がここに収録されている作品群であって、
それが犬木さんの表紙で復活すると聞いてこれに勝る喜びはありません。
――著者より
グロ小説に対する「ものが食べられなくなる」等の言葉は
感想文としての誇張表現であって実際ンな事ないよなと思っていたが、
『異形家の食卓』は凄いよ、
高ぶる気持ちを一旦抑えようとミルクティーを口に含んだ瞬間
描写がフラッシュバックして本当に吐き戻しそうになったもん。初の体験で感動した。
――避雷針@Soki_Itsumi
【著者情報】
田中啓文(たなか・ひろふみ)
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の騎士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、ジャズミステリ短編「落下する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第33回星雲賞日本短編部門、09年「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門、16年「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」で第47回星雲賞日本短編部門を受賞。「笑酔亭梅寿謎解噺」シリーズ、「鍋奉行犯科帳」シリーズ、「浮世奉行と三悪人」シリーズ、『文豪宮本武蔵』『臆病同心もののけ退治』『崖っぷち長屋の守り神』『誰が千姫を殺したか 蛇身探偵豊臣秀頼』『貧乏神あんど福の神 秀吉が来た!』他、著書多数。