沖縄出身作家の小説から、沖縄を舞台とする小説、沖縄の歴史や文化に関するノンフィクションまで。
集英社文庫からは、さまざまな「沖縄本」が刊行されています。
それらをまとめてご紹介。
『あなたの隣にある沖縄』
澤宮 優 著
「なぜ実家の熊本にブーゲンビリアの花?」
そこから始まった、ヤマトンチュによる沖縄をたどる旅。
中世のグスク(城)、学童集団疎開、ハンセン病、基地問題……。
沖縄の過去と現在を見つめ、未来を照射するノンフィクション。
沖縄は好きですか? 年に何回くらい行きますか? 現地に行かずとも沖縄を感じられるものがあるといいですよね。身近な草花や歌謡曲、TVのヒーローものや美術作品など、あなたが触れる身近なものに、実は沖縄とのリンクが存在します。それらを頼りに、沖縄の歴史や現在抱えている問題を見つめ直すノンフィクション。丹念な取材で、曖昧な知識を確かな認識へと昇華させた、著者の真骨頂といえる本。
2024年8月21日発売
770円(税込)
文庫判/320ページ
ISBN:978-4-08-744687-6
『沖縄密約 ふたつの嘘』
諸永裕司 著
国は昔も今も我々を欺いてきた。
1972年、政府の隠蔽を告発し、国家によって葬られた西山太吉氏の足跡を追ったルポ。
西山氏本人ではなく、彼に近い二人の女性の視点から追うことで「沖縄密約事件問題」の核心を本質的にとらえる試み。
米統治下にあった沖縄の返還を前に交わされた日米間の密約。それを告発した新聞記者の西山太吉氏。しかし女性事務官から機密を入手した取材手法に問題をすり替えられた。密約が米公文書によって裏付けられたのはそれから30年近く後。本書は西山氏の妻と弁護士、二人の視点から描くという独創的な切り口で、西山氏の功罪を照射する。沖縄の問題にとどまらない、政府の闇を暴くノンフィクション。
2024年4月19日発売
880円(税込)
文庫判/384ページ
ISBN:978-4-08-744641-8
『沖縄。人、海、多面体のストーリー』
森本浩平 編
復帰50年・今こそ読むべき本。ジュンク堂書店那覇店店長・森本浩平氏が編者をつとめた画期的なアンソロジー。
芥川賞作家3名を含む小説7作と、沖縄書店大賞受賞作2本を含むノンフィクション3作、沖縄を書いた計10作品を収録。
南国の楽園として人気の反面、米国統治から復帰して50年、未だ戦争の影響が残る現実。見る人、立つ位置により全く違う一面を見せる沖縄は、これまでどのように書かれてきたのか。沖縄初の芥川賞作家・大城立裕の作品を始めとする沖縄文学から、県外作家が沖縄を描いた小説、さらにはノンフィクションまで。沖縄の50年に光を当てる10編。この土地と人の持つパワーを感じ、新たな価値観が得られる一冊。
収録作品:
「ハアーイーヤア」川上健一
「小さな恋のメロディ」吉田修一
「金城米子さん」花村萬月
「珊瑚礁の女」椎名誠
「スーパースター・瀬長亀次郎」佐野眞一
「背中の傷と差別」松永多佳倫
「消し去られた街、生の痕跡」藤井誠二
「レールの向こう」大城立裕
「孤島夢ドゥチュイムニ」崎山多美
「ギンネム屋敷」又吉栄喜