第3回「いきなり文庫! グランプリ」優秀作に選ばれたのは、中山祐次郎『俺たちは神じゃない 麻布中央病院外科』
- 北上
- 話を『俺たちは神じゃない』に戻せば、批判というのではないんですが、気になる点がある。松島が最後に思わせぶりなことを言うだろ?
- 吉田
- はいはい。「剣崎先生あのな、実は」と言って、その先を言わないまま終わっている。
- 北上
- なんなのよあれ。
- 吉田
- シリーズ化への伏線じゃないですかね。
- 北上
- 松島がどこかへ行ってくれないかなあ。
- 江口
- どういう意味ですか?
- 北上
- この主人公は剣崎なんだよ。やや無個性だけど、シリーズものの主人公にはこういう男のほうがいい。で、まわりに松島とか、麻酔科の瀧川京子とか、個性的な人物を置けばいい。しかもその脇役をずっと固定するのではなく、入れ替えたほうがいい。おれの案は最初に退場させるのは松島だね。この物語からBL臭を取り除きたい(笑)。
- 吉田
- そこ(笑)? 実家に問題が生じて帰らなければならなくなったとか、物語から退場させる方法はいくつもありますが。 北上「実は」のあとに、「実は郷里に帰ることになった」と続くわけだね(笑)。
- 江口
- 完全にいなくなるのは淋しいから、何作かしたらまた戻ってくるとか、そういう救済の目は残しておいてください(笑)。
- 北上
- いいねえ。じゃあ、そういうことにしましょう。
- 江口
- グランプリ大会に残ってもらうかどうかをまだ決めていないんですが。
- 吉田
- 残しましょう!
- 北上
- 異議なし!
- 江口
- 私も賛成します。
2022年7月12日収録 座談会は感染対策に気をつけて行いました。
- プロフィール