「化学の実験は、料理とすごく似てるんだ」
理系だった私は大学時代、研究室の先輩にそう言われたことがあります。
外食生活だったその頃はピンとこなかったのですが、この本を読んでその理由がわかりました。
パウンドケーキがなぜ膨らむのか。ゼリーはなぜ固まるのか。
今回オススメする「スイーツレシピで謎解きを　推理が言えない少女と保健室の眠り姫」は、そんな「お菓子作りのしくみ」が事件の鍵となる学園青春ミステリです。

主人公は「吃音」を抱えた引っ込み思案な菓奈。 そんな彼女は、スイーツ男子の真雪や保健室登校の悠姫子など個性的な面々と出会い、少しずつ前に進んでいきます。 チョコレート・カトルカール・シュークリーム・フルーツゼリー……と、それぞれの謎を解くきっかけとなるお菓子はどれも美味しそう。
甘いスイーツとほろ苦い青春のバランスが絶妙で、まるでこの本自体が一つの料理のようです。

――なんて思いながら読んでいたら、最終話に待っていた隠し味のインパクトが強烈過ぎて全部持っていかれてしまいました。
ネタバレを避ければ「とにかく『やられた！』と感じる」としか言えないのですが、とりあえず最後まで読む前にもう一度読み返してしまうこと必至です。
一度読んだら「とにかく最終話まで読んでみて！」と薦めたくなるこの一冊、ぜひ読んでみてください！