サワノ氏オススメの本
『Masato』 岩城けい 著
「本を読んで泣いたことありますか?」と聞かれることがあります。映画やスポーツ中継で涙を流すことは多々あるのですが、本だと、う〜ん、なんだろう、と即答できませんでした。これからは『Masato』を挙げることにします。
この作品は父親の仕事の都合でオーストラリアの地元小学校5年に転入した真人が、言葉や文化の壁にこてんぱんにやっつけられながらも、サッカークラブへの加入をきっかけに友情を育み、両親の想像を超える成長を遂げていく姿を描く物語です。そして、両親(特に母親)との断絶と別れ、巣立ちも重要なテーマです。
サッカーの英語なら覚えられそうだからと、真人はクラブチームの練習に参加します。ゴールを決め、チームメイトに手荒い祝福を受けます。試合後、全員で輪になってチームソングを熱唱。真人がようやく自分の居場所を見つけた瞬間がきました!(涙がウルっ)
家族4人とともにオーストラリアにやってきた柴犬のチロ。食欲もなくなり寝ている時間が増え、次第にあばら骨が目立つように……。楽にしてあげたい一心で獣医に“眠らせる注射”をしてもらいます。死の直前、チロは真人の手をぺろんとなめるのです。(しんみり……)
そして卒業式。両親も見守る中、学校から表彰された真人の背中を押すように、かけがえのない友人となった生徒たちは「マット!」「マット!」と声をかけます。(号泣)
また、真人の進学問題でもめる両親の壮絶な怒鳴り合いシーンでは、怒りと悲しみの涙を流さずにはいられません。
真人に感情移入するだけでなく、母親に共感する人もいると思います。ただ、人の成長の上限を自分の基準で決めてはいけないと、改めて感じた一冊でした。おすすめです!!
プロフィール
- サワノ氏
- 重いものは持ってもビールの中ジョッキまで。砂利道では足を挫き、エアコンをこよなく愛する販売担当。(でも半そでは肘が冷えるので苦手)
- 好きな本のジャンルは、人から薦められたもの、というくらいの乱読派。あと、気持ちを落ち着けたい時は、本を開いて紙の匂いをス〜っとかぎます。これに共感してくれる人はいませんか?
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2018.02.20 Masato 岩城けい 著
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2016.04.01 幸せ戦争 青木祐子 著
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2015.12.17 もらい泣き 加門七海 著
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2015.05.20 猫怪々 加門七海 著