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とろんちゃんオススメの本
『ばけもの好む中将』 瀬川貴次 著
真夜中の仁寿殿にポタリ、ポタリと物の怪の血が滴る―
ふりむくと、そこには・・・
ギャーーーーッ!!
想像するだけで、背筋も凍る。怖い話は苦手です。とろんです。
今回のオススメは、瀬川貴次さんの
いきなり文庫!『ばけもの好む中将』
です。
主人公は、梨壺の更衣の異母弟・右兵衛佐宗孝(うひょうえのすけむねたか)。
女性に文を出したら、添削されて戻ってきて、顔に血がついては、「穢れが、穢れが…」と
うなされる・・・イマ時平安男子です。
じゃあ、“ばけもの好む”なんて不気味な呼び名がついた中将とは?
っていうか、そもそも
“中将”
って?
―近衛府中将といえば宮中の花形。(中略)上流貴族の御曹司が担う職務であった。(本文12P)
そういえば、『源氏物語』の輝く光源氏のご友人も“頭中将”様でしたね。
脱線しましたが、こちらの
“ばけもの好む中将”
も負けてません。
“ばけもの好む中将”こと、左近中将宣能様は、右大臣のご子息にして、叔母は後宮でもっとも力のある弘徽殿の女御。さらに、切れ長の目に、肌の白さを際立たせる薄紅色の唇を持ち、背はすらりと高く、気品に満ち溢れたお方なのです。
・・・が、出来すぎな中将様には困った趣味があったのです。
“お化けや怪異が、女人よりも好き”
という―
この、押しに弱いイマ時平安男子と、変人美形貴公子が二人で都に起こる恐ろしい“謎”を解き明かして行くのです。血が滴る仁寿殿に続いて、角が三つ生えた鬼女、葵祭に現れた物の怪集団…さらに、イマ時平安男子宗孝には、梨壺の更衣の姉の他にもなんと十一人、
総勢十二名の姉君
がいるのです。女房や尼、武士の妻や行方不明…そんなハラ違いの姉君たちに、末っ子宗孝がかなうわけもなく…姉君に押し切られ、ばけものには驚かされ、キャーキャーぶるぶるな宗孝ですが、そこは警護担当の右兵衛佐。次第に「お、かっこ良いかも」という立ち振る舞いも増えてきます。でもやっぱり、良いところは中将様が持っていってしまうんだなぁ・・・“怪異”は不気味だけれど、
平安女子&平安男子の掛け合いが面白い!!
私の平安時代知識は、小学校時代に読んだ、氷室冴子さんの小説『なんて素敵にジャパネスク』、古典を習い始めて真っ先に読んだ、大和和紀さんの大河漫画『あさきゆめみし』。この二作品が元になっています。平安時代の衣装は素敵!! 貴公子はかっこ良い!! お転婆な姫君に憧れる!!
というなんともアバウトなものですが、この
『ばけもの好む中将』は、その三拍子がたっぷり堪能できます!
難しいこと考えずに、謎解き平安物語の世界へ~
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とろんちゃん
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ツンデレ食いしん坊販売担当
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趣味のトロンボーンを10年以上続けているのに、歌を歌うとジャイ○ンも真っ青な超絶オンチ。
でも、中にはこの不思議な音程がクセになる人もいるハズ★
と、文庫片手に運命の人を探し中。
いわゆる【女子力】はからっきしないけども、持ち前の【突破力】で、解決できるハズ★と信じてる。
読書中は、常に自分が主人公になったつもりで妄想モード。
「もし、こんな人が目の前に現れたら・・・」「もし、自分がこの会社にいたら・・・」
と妄想が止まらない!!!
ハッピーなお話はもちろんだけど、切ない小説を読んで「もし、あの時・・・」と、悶々考えるのが実は好き。
2015.04.17
『危険な食卓』
小池真理子 著
2014.12.16
『王妃の館 上・下』
浅田次郎 著
2014.05.20
白蓮れんれん
林真理子 著
2014.01.17
ばけもの好む中将
瀬川貴次 著
2013.04.19
私を知らないで
白河三兎 著
2012.12.14
さよならバースディ
荻原 浩 著