皆様、パリに行ったことはありますか??
私は、学生のときに格安ホテルにとまりました。女子5人でベッドが2つ……
でも窓から見えるエッフェル塔に、フランスパン片手に通りを渡る、おしゃれな人々。
「ここはパリ!」と思えば、窮屈なベッドも、コーンフレークだけの朝食も気になりませんでした……
しかし、桜井香に提案されたパリ10日間の旅は、そんな学生の貧乏旅行とは格が違います。10日間で、1,498,000円。成田空港まではハイヤー送迎。飛行機はもちろん、ファーストクラス。そして、パリ・ヴォージュ広場で三百年の伝統を誇る「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ―王妃の館―」での宿泊。なんと贅沢! 38歳独身OLに200万円(シングルユーズ料金が上乗せ!!
)は確かに、高い……高いけど、「王妃の館」に泊まれるなんてそんなチャンスは滅多にない!!
と、辣腕ツアーコンダクター、朝霞玲子の営業トークに押しきられる形で契約してしまった香。
200万円!20万円のパリツアーだってある昨今、この金額はべらぼうに高いです。でも、朝霞玲子の話を聞いていると、あのVIPも泊まった!!ルイ14世が愛する女性のために作った!!など、「一生に一度なら……」と思えてくるから不思議。
そんなべらぼうに高いツアーに集ったメンバーがまた個性的。
全身エルメスの金沢寛一と、シャネルスーツのミチル。せっかくのパリなのに、終始陰気な下田夫妻。そして、作家の北白川右京と編集者の早見リツ子。皆それぞれ、「パリ10日間 1,498,000円」のツアーに参加した(参加しなければならない)事情を抱えています。
10日間の日程が進む中で明らかになる、それぞれの事情……そして、光輝くパリ旅行の裏に隠された秘密・・・
敏腕ツアコン朝霞玲子が個性的なメンバーとファーストクラスでパリに到着する一方、気弱なツアコン戸川は、「パリ10日間 198,000円」のツアーを率いています。そう!こっちのツアーなら私でも行けるかも!しかし、こちらのメンバーも負けず劣らず個性的。元警察官で猪突猛進型の近藤誠。ゲイ・バーに勤めるクレヨン。全身黒ずくめの丹野夫妻と、元夜間高校教員だった岩波氏とその妻。アパレル会社バイヤーを名乗る、谷文弥と香取良夫。そして、こちらのツアーが泊まるのも、シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ。おなじ「王妃の館」に宿泊する、200万円のツアーと20万円のツアー。このワケありダブルブッキングツアーは一体どうなる!?
読み進めると、ここですれ違うか!気づかれちゃう!というハラハラが止まりません。さらに、売れっ子小説家・北白川右京による、太陽王ルイ14世と「王妃の館」の物語が繰り広げられます。1つのホテルが2つのツアーで使われているように、香たちの現代の話とルイ14世の過去の2つの物語が、この『王妃の館』には詰まっています。
あっという間に現代と過去のパリを満喫できる2冊。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、2015年GWには映画化が決定しています!それぞれのツアー客をいったい誰が演じるのか?ちなみに、シャトー・ドゥ・ラ・レーヌのモデルになった、パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌは今もパリ・ヴォージュ広場の片隅にあり、宿泊することが可能です。
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