2020年 特別企画
『パラ・スター〈Side 百花〉』『パラ・スター〈Side 宝良〉』
著者 阿部暁子さん インタビュー
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- 車いすもかっこいいし、作っているエンジニアさんたちもかっこいいですね。
- 阿部
- 話を聞かせていただいた方々誰もが本当にかっこよくて。藤沢製作所のエンジニア、小田切は、私が取材したエンジニアの方たちのかっこよさをぎゅっと濃縮したキャラになっています。
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- 車いすの描写同様、試合のシーンの臨場感もすごかったです。まるで自分もコートの横で試合を観ているかのようでした。
- 阿部
- 試合のシーンには臨場感が不可欠だと思っていて、それがなければ意味がない、と思いました。ただ、いかんせん、自分は筋金入りの文化系なので、臨場感を出そうにも、そもそも実体験がない。なので、テニスのことが書かれている小説を可能な限り読み込んで、テニス関連のテレビや試合の映像も沢山観ましたし、生まれて初めてテニス教室にも通いました。車いすもかっこいいのですが、車いすテニスもかっこいいので、試合のシーンはしっかり書きたかったんです。本当は、第一部(〈Side百花〉)と第二部(〈Side宝良〉)を合わせて400ページくらいにする予定でいたのですが、気がついたらこんなボリュームになってしまいました。
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- 緻密な描写といえば、〈Side宝良〉の冒頭部分で、車いす生活を送る宝良の、起床から身支度までがさりげなく描かれていますが、排泄の事情のことなど、初めて知りました。
- 阿部
- この物語を書くために資料や手記を色々調べたのですが、私自身、「はっ!」と初めて気づくことの連続でした。なので、そうした細かい生活の中の事柄も伝えたいな、と。
- プロフィール
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阿部暁子(あべ・あきこ) 岩手県出身、在住。2008年『いつまでも』(刊行時『屋上ボーイズ』に改題)で第17回ロマン大賞を受賞し、デビュー。著書に、『室町少年草子 獅子と暗躍の皇子』『戦国恋歌 眠れる覇王』、「鎌倉香房メモリーズ」シリーズ、『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』『どこよりも遠い場所にいる君へ』『また君と出会う未来のために』などがある。
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吉田伸子(よしだ・のぶこ) 青森県出身。書評家。「本の雑誌」の編集者を経てフリーに。鋭い切り口と愛の溢れる書評に定評がある。著書に『恋愛のススメ』。
話題
沸騰!
- パラ・スター〈Side 百花〉
- 親友で車いすテニス選手の宝良のために、最高の競技用車いすを作りたい! その熱意とは裏腹に、焦りばかりが募る新米エンジニアの百花だが……。
3月
19日
発売
- パラ・スター〈Side 宝良〉
- 事故で車いす生活を余儀なくされた宝良。親友、百花の強引な誘いで車いすテニスと出会い、やがてパラリンピック出場を目標に掲げる。夢は叶うのか?
好評
発売中!
- 集英社文庫
阿部暁子さんの本
室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 - 南朝の姫君、透子は北朝に寝返った武士、楠木正儀を連れ戻すため京の都に向かう。宿敵、足利義満や、猿楽師の美少年・世阿弥との出会いを経て、彼女が知った広い世界とは?