バラ色の定年後の生活なんて幻!? 定年後の人生ってどんなものだろう。毎日、自分の好きなことを好きなだけ出来る。しかも誰にも邪魔されない。土日は孫が遊びにきてくれる。たまに昔話をして、「あのころはよかった」と人生を振り返り、それに比べて「今のやつらはだらしない」と優越感に浸る。そんな明るく楽しい定年後の生活を思い浮かべると同時に、孤独でつらい生活の危機があることを知りましょう。特にこんな方は要注意! 「会社人間だった方」「家事は妻任せの方」「趣味がない方」 あなたは大丈夫ですか。私は二つ該当しました…… 大手広告代理店の役員まで務めた主人公の大谷威一郎はなんの不満もなく定年退職しました。 定年退職後はやりたいことがたくさん! たとえば、本を読みたい、映画・演劇を観たい、フランスを勉強したい、囲碁、ゴルフをやりたい、純粋な恋をしたい、と明るい希望がありました。 ですが、現実は違います。毎朝起きてもやることがないのです。 やることといったら、図書館とデパートに行くこと。図書館で新聞を読む、デパートで買うつもりはないのに、店員と話すために品物を吟味する。淋しい限りですが、次第にそんなことにも飽きてきます。 そして、家で妻の帰りを待っているのがしんどいのです。ついつい声を荒らげて「どこにいっていたんだ!」「メシはまだか!」といってしまう頑固親父そのもの。妻には習い事や友人との食事・観劇など予定があることも気にくわない。妻との距離はどんどん離れていきます。 ついには、妻は家を出てしまいます。妻がいなくなって初めて一人では何の家事も出来ないことを知り、妻の有り難みを知る、日本の夫の典型です。 仕事を始めようにもプライドが邪魔をして、結局は何もしない。しまいにはデートクラブに入会し、若い女性にいれあげてしまう、定年後の男性が描かれています。 果たして、夫婦関係は修復されるのか? 威一郎の定年後の生活はどうなるのか。 「まさにいまこの世代の方」「この世代の父や夫がいる方」「これから定年を迎える方」は必ず読んでください! きっと身につまされます。