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Recommendation

アラーキーオススメの本 『みかづき』 森 絵都 著
アラーキーオススメの本

「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」

昭和36年。
小学校の用務員として働いていた吾郎は、授業の内容についていけない子供たちに、用務員室で勉強を教えてあげていた。その評判が広まり、様子を見に来た児童の母親・千明から、学習塾を共同で立ち上げないか、ともちかけられる。
この出会いが、親子三代にわたって塾業界を変えていく奮闘の歴史の幕開けとなった――。

戦前教育から現在に至るまで、「正しい教育」とは何なのか、議論は尽きるところがない。本作内でも至るところで衝突の連続だ。ライバル塾からの激しい嫌がらせ、同じ塾内で露見する意見のすれ違い。それでも自らの理想に向けて、時に仲間を敵に回してでも突き進んでいく千明。だがやがて、家族までもがバラバラになり始めてしまう……。

激しく変わっていく世相や、千明をはじめ、強烈な個性を放つ登場人物たちを描きながらも、森さんの筆致は優しい。長編の大河小説でありながら、めくるめく展開と優しい文体に途中で読むのをやめることができなくなってしまう。

「先生」ではなく、「教育」が主役ともいえる珍しい作品だが、「正しい教育とは何か」という壮大なテーマに家族の絆と成長が絡まり合って、意見や正義が異なるそれぞれの登場人物たち全員を愛さずにはいられない。

冒頭のセリフは千明の言葉だが、それぞれが送る、みかづきのような美しい生き方が、いつか満月になってくれればいいな、と思いながら読んだ、とてもおすすめの一冊。

プロフィール
  • アラーキー
  • 常に何か食べてる宣伝担当
  • 大学で専攻していたのが「ラオス語」というだけで珍しがられ、就職戦線を乗り切った30代。食べ物も本も好き嫌いはなくて何でも好き。見たことのない食べ物があればとりあえず食べ、タイトルやカバーが良いと思った本はとりあえず買う。趣味は秘境駅巡りと野球観戦(カープファン)とバドミントン。
過去のオススメ!
  • 2021.7.15new ナツイチ2021
  • 2021.3.19 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 高野秀行/清水克行 著
  • 2020.11.20 名も無き世界のエンドロール 行成 薫 著
  • 2020.6.19 ナツイチ2020
  • 2020.3.19 あのこは貴族 山内マリコ 著
  • 2019.11.20 ひとよ 長尾徳子 著/原作・桑原裕子
  • 2019.7.19 慈雨 柚月裕子 著
  • 2019.2.20 みかづき 森 絵都 著
  • 2019.2.1 我が家のヒミツ 奥田英朗 著
  • 2018.12.7 根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男 髙橋安幸 著
  • 2018.07.20 恋するソマリア 高野秀行 著
  • 2018.01.19 オトコの一理 堂場瞬一 著
  • 2017.03.17 桜のような僕の恋人 宇山佳佑 著
  • 2016.11.18 全一冊 小説 上杉鷹山 童門冬二 著
  • 2016.06.23 チア男子!! 朝井リョウ 著
  • 2016.02.19 無伴奏 小池真理子 著
  • 2015.11.20 狭小邸宅 新庄 耕 著
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