第八話『愚弟二人(高舘義経堂/衣川館 柳之御所)』
矢野 隆Takashi Yano

高舘義経堂(たかだちぎけいどう)/衣川館(ころもがわのたて)
岩手県・平泉町あったとされる奥州藤原氏の居館。兄・源頼朝に追われ、少年期を過ごした平泉に再び落ち延びた源義経は、藤原氏三代・秀衡の庇護のもと、この居館を与えられた。しかし、再三にわたる頼朝の要求に屈した秀衡の子・泰衡の急襲にあい、この地で妻子とともに自害したと伝えられている。
元禄2年 (1689年)松尾芭蕉が来訪し、句を詠んだことから、現在は「おくのほそ道の風景地」として国の名勝に指定されている。

柳之御所(やなぎのごしょ)
奥州藤原氏初代・清衡が江刺郡豊田館(奥州市)から移ってきて居館をかまえた所。秀衡が政庁、平泉館とするため再整備を行ったとされ、平泉の中心地であったとされる。
現在は一部が柳之御所史跡公園として整備され、池、堀、道路などが復元されている。

- プロフィール
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矢野 隆(やの・たかし) 1976年生まれ。福岡県久留米市出身。
2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞する。以後、時代・伝奇・歴史小説を中心に、多くの作品を刊行。小説以外にも、『鉄拳 the dark history of mishima』『NARUTO―ナルト―シカマル秘伝』など、ゲーム、マンガ作品のノベライズも手掛ける。近著に『戦始末』『鬼神』『山よ奔れ』など。