よみもの・連載

第5回「いきなり文庫! グランプリ」優秀作に、長月天音『ただいま、お酒は出せません!』を選出

ハルキ文庫 文庫初版
2019年4月18日刊

『一膳めし屋丸九』 中島久枝

あらすじ

日本橋北詰の魚河岸のほど近く、「丸九」という小さな一膳めし屋がある。うまいものを知る客たちにも愛される繁盛店だ。たまのごちそうより日々のめしが体をつくるという、この店を開いた父の教えを守りながら店を切り盛りするのは、今年29歳となったおかみのお高。たとえばある日の膳は、千住ねぎと薄揚げの熱々のみそ汁。いわしの生姜煮、たくわん漬け、そして温かいひと口汁粉。さあ、今日の献立は? しあわせは、うまい汁とめし、そしてほんの少しの甘いもの。おいしくて、にぎやかで、温かい、明日の元気が湧いてくる人情派時代小説シリーズ第1作。

実業之日本社文庫 文庫初版
2018年2月15日刊

『三人屋』 原田ひ香

あらすじ

駅から続く全長1キロほどの商店街。ちょうど真ん中あたりにその店はあった。朝は三女・朝日の喫茶店、昼は次女・まひるの讃岐うどん屋、夜は長女・夜月のスナック――朝・昼・晩で業態がガラリと変わるその店は通称「三人屋」。やって来るのは、三女にひと目惚れしたサラリーマン、出戻りの幼なじみに恋をする鶏肉店の店主、女泣かせのスーパーマーケットの三代目店長など、一癖ある常連客たち。三姉妹が作るごはんを口にすれば、胃袋だけじゃなく、心もたっぷり満腹に! 訳あり三姉妹と常連たちが繰り広げる味わい深い人情ドラマ。

ハルキ文庫 文庫初版
2014年8月18日刊

『キャベツ炒めに捧ぐ』井上荒野

あらすじ

「コロッケ」「キャベツ炒め」「豆ごはん」「鰺フライ」「白菜とリンゴとチーズと胡桃のサラダ」「ひじき煮」「茸の混ぜごはん」……東京の私鉄沿線のささやかな商店街にある四軒長屋のうちの一軒が惣菜屋の「ここ家」である。開店11周年を迎えた名店。このお店に並ぶお惣菜は、とびっきり美味しい。賑やかなオーナーの江子に、むっつりの麻津子と内省的な郁子、大人の事情をたっぷりと抱えた3人で、お店を切り盛りしている。彼女たちの愛しい人生を、幸福な記憶を、切ない想いを、季節の食べ物とともに描いた11の物語。こんな惣菜屋が近所にあったらいいのに! そう思わせていくれる名作。

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