- 『海近旅館』 柏井壽
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あらすじ
亡き母の跡を継ぎ、東京での仕事を辞め静岡県伊東市にある「海近旅館」の女将となった海野美咲は、ため息ばかりついていた。「部屋から海が見える」ことだけが取り柄の旅館で、お客の入りも悪く、ともに宿を切り盛りする父も兄も、全く頼りにならない。不思議な男性二人組の宿泊客が、買収のための下見に来ているのではないかと噂が広がり……。人気「鴨川食堂」シリーズの著者が贈る、ハートフル・ストーリー。「美咲のおすすめ宿 厳選8軒」も収録。
第7回いきなり文庫GP座談会
小学館文庫 文庫初版
2020年9月8日刊
ポプラ文庫 文庫初版
2018年2月2日刊
- 『ミナトホテルの裏庭には』 寺地はるな
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あらすじ
大通りから入った閑静な地に佇む、通称「ミナトホテル」は、大正末期に建てられたキャラメルのような見た目の宿泊施設だ。祖父からその裏庭の鍵捜しを頼まれた芯輔。金一封のお礼につられて赴くと、そこは――看板を出してもいないのに、人知れず「眠れない」「食べられない」訳ありのお客がやってくる、いっぷう変わったホテルだった。誰かと繋がりあうことのよろこびを、『ビオレタ』の注目株がやさしく温かく力強く紡ぎ出した、涙を誘う物語。
講談社文庫 文庫初版
2008年7月15日刊
- 『泣けない魚たち』 阿部夏丸
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あらすじ
僕にザリガニの味を教えたのは、6年生の春に転校してきた、こうすけだった。クラスの誰ともしゃべらないこうすけと僕の間には、二人だけの秘密があった……。ひと夏をともに過ごし、成長する少年たちの姿をみずみずしいタッチで描いた表題作「泣けない魚たち」など、全3編を収録。坪田譲治文学賞、椋鳩十児童文学賞をダブル受賞した、デビュー作。川と釣りというモチーフは、少年小説の王道なんだ! と改めて気づかせてくれる不朽の短編集。
- 江口
- 話を『民宿ひなた屋』に戻しますが、こちらを最終的な年間グランプリの候補作にするかどうかですが、いかがですか?
- 吉田
- あまりにもうまくいきすぎる話の展開は……、と思うところもありますが、今のような世知辛い世の中には、こういう物語は必要かな、と思います。
- 浜本
- 候補作に残す、でいいと思います。夢破れたアラフォー男を応援するというのはいいですよね。気持ち的にも盛り上がるので、人にもお勧めしやすい。
- 江口
- それでは、『民宿ひなた屋』は、年間グランプリ出場決定といたします。
- 吉田
- 異議なし!
- 浜本
- 同じくです。
2023年4月28日 座談会は感染対策に気をつけて行いました。
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