よみもの・連載

堂場瞬一×神田松鯉 作家デビュー20周年記念スペシャル対談 求道の途中で

堂場瞬一×神田松鯉 作家デビュー20周年記念スペシャル対談
求道の途中で

 
構成/宮田文久 撮影/大槻志穂

二〇二一年、最初の単行本発売から二〇年を迎えられた作家の堂場瞬一さん。
デビュー後は精力的に執筆活動を続け、二〇二〇年までの単行本刊行点数は一五二点に上りました。
作家デビュー二〇周年を記念して、講談界の第一人者である神田松鯉さんとの対談が実現!
講談師として史上二人目の人間国宝に認定された神田さんは、読書家で、
実は堂場瞬一作品の熱心なファンでもあります。
神田さん曰く、二〇年は芸事の世界でひとつの節目と考えられているそう。
道を究めることについて、お二人に語っていただきました。


神田
長らく作品を愛読してきましたので、今日は本当に楽しみにしてきたんです。こうやって先生のお顔を拝見しますと、男っぷりが役者みたいですね(笑)。
堂場
作品ともどもありがとうございます(笑)、よろしくお願いいたします。それにしても、お話しするときにアクリル板が間にあるのに、まだ僕は慣れていなくて……。
神田
今は寄席の、新宿末廣亭では、高座の前にこの仕切りがあるんですよ。
堂場
お客さんとの間に距離があるような気がして、やりにくくないですか。
神田
多少距離感はあるけど、慣れました。毎日のように高座にあがりますから(笑)。
堂場
もう月も後半ですけど(対談は七月下旬に収録)、僕はずっとひとりで仕事をしているので、人に会うのは今月これが二回目です。コロナ禍は、芸人の皆さんにとって本当に大変でしょうね。
神田
ええ……客席を半分にしたら、みんなお給金も半分ですからね。先日、「寄席支援プロジェクト・クラウドファンディング」というものが立ち上がったのですが、お客さんから一億円を超えるご支援が集まりました。本当にありがたいことです。先生もそうですけれど、我々は自由業。お上の保障がないですからね。
堂場
はい、わかります。普段は自由にやらせてもらって、すごく気楽なんですけど、何かあったらお手上げですから。今は、まさにそういう状況に来ていますよね。
神田
だからこそ、寄席を潰しちゃいけないという熱心なお客さんがいてくださることは、大きな支えなんです。
堂場
改めて、ファンの方々の存在は大きいな、ありがたいな、と感じます。
プロフィール

堂場瞬一(どうば・しゅんいち) 1963年、茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒。2000年、第13回小説すばる新人賞を受賞し、2001年1月、デビュー作『8年』を刊行。2013年、読売新聞社を退社し、作家専業に。2020年までの出版点数は152冊。
最新刊は10月26日刊行予定の『幻の旗の下に』。

神田松鯉(かんだ・しょうり) 1942年、群馬県前橋市出身。 講談師・人間国宝。日本講談協会、落語芸術協会所属。日本講談協会では名誉会長を、落語芸術協会では参与を務める。1970年、二代目神田山陽に入門。1992年に 三代目 神田松鯉を襲名。1988年、文化庁芸術祭賞を受賞。長年の講談界全体への功績が認められ、2019年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。