- 『蝉しぐれ』上下 藤沢周平
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あらすじ
海坂藩普請組、牧家の跡取りである文四郎は、15歳の初夏を迎えていた。淡い恋、友情、突然に一家を襲う悲運と忍苦。苛烈な運命に翻弄されつつ成長していく少年藩士は、不遇感を抱えながら、一心に剣術の稽古に励んでいた。そして18歳の秋、神社の奉納試合でついに興津新之丞を破り、思いがけない人物から秘剣を伝授される。前途に光が射しはじめ、妻をめとり城勤めに精を出していた。そこに江戸にいるお福さまの消息が届き……。不朽の名作にして、青春時代小説の金字塔。
今回の優秀作は青春時代小説、吉森大祐『青二才で候』に!
文春文庫 新装版文庫初版
2017年1月10日刊
集英社文庫 文庫初版
2023年6月25日刊
- 『大江戸かあるて 鍼のち晴れ』 杉山大二郎
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あらすじ
幼い頃に父と母を亡くし、貧しさと戦って生きてきた17歳の駿。誰よりも辛く苦しい経験をした彼は、切腹した親友の涼に誓った思いを胸に、故郷の上野国玉宮村を後にして、江戸へ。弱き者を守る医者になるべく、日本一の講習所である杉坂鍼治学問所に入所する。腕は確かだが、偏屈で守銭奴の間市に師事するも、間市が患者の命よりもお金を優先する姿勢に疑問を抱く。そんな中、余命幾ばくもない吉原の元遊女と息子に出会い――心優しく真っ直ぐな青年が、江戸一番の医者を目指し、厳しい現実と向き合いながらも悪戦苦闘する。一気読みの青春時代小説。
角川文庫 文庫初版
2023年3月25日刊
- 『おんな大工お峰 お江戸普請繁盛記』 泉ゆたか
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あらすじ
「息子を閉じ込める牢だって?」江戸城小普請方の家に生まれるも父を亡くし、職人として生きる18歳のお峰。ある日、采配屋の与吉から普請仕事を請け負うおんな大工の彼女の元に、珍妙な依頼が舞い込んだ。笊職人の亀造の9歳になる息子が、腕白を通り過ぎて長屋の住人に迷惑をかけ続けており、女房と相談の上、家に牢を作る苦渋の決断をしたという。そんな依頼にお峰が捻り出した、痛快な代案の普請とは? ほっこり心が温まる、人情時代小説の新定番、誕生か!?
- 江口
- では、そろそろまとめに入りたいと思います。今回は青春時代小説の回になりましたが、吉森大祐さん『青二才で候』を最終的な年間グランプリの候補作にするかどうか。
- 浜本
- 私はあれこれ言いましたが、面白く読めたし、残していいと思います。
- 吉田
- 残したいです。
- 江口
- では、満票ということで残しましょう。
2023年7月5日収録
- プロフィール