スポーツ観戦するとき、選手のプレーを観るのは当然のことですが、その背景を知るともっと楽しく観戦できます。
ということでプロ野球ファンの方にぜひともオススメしたい文庫が『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』です。
根本陸夫氏は自らもプレーヤーでしたが、現役時代は実働4年でそれほど実績を残せなかった三流選手。引退後は4球団で指揮を執りながら優勝はなく、Aクラス入りも一度だけの二流監督(ただし広島カープを球団創設以来初のAクラスに導いた)でした。
ところが各球団のフロント入りをし、チーム編成に携わると、実質GM(ゼネラルマネージャー。当時はそういう呼称はありませんでした)として辣腕を発揮し、当時低迷していたカープ、ライオンズ、ホークスに変革を起こし、各球団が後に迎える黄金時代の礎を築きあげます。
つまり根本氏は「野球選手としては三流、監督としては二流、でもGMとしては超一流」だったのです。
それは著者の髙橋安幸氏が数々のプロ野球レジェンドたちから証言を集め、導き出した「結論」と言っても過言ではありません。
本書に収録されているうちのいくつかの証言を列挙します。
証言者:工藤公康「入団拒否する選手の親にすっかり気に入られた男」
証言者:関根潤三「大学生にして渋谷の闇市で暴れまわっていた男」
証言者:土井正博「高校を中退させて『18歳の4番打者』を作った男」
証言者:衣笠祥雄「広島を球団初のAクラスに導いた男」
証言者:石毛宏典「野球人にスーツを着ることの大切さを教えた男」
証言者:森 繁和「裏技を駆使して一流選手を次々と入団させた男」
証言者:行澤久隆「1980年代の常勝西武を作り上げた男」
証言者:下柳 剛「試合中にもかかわらず下柳剛を延々と説教した男」
証言者:森脇浩司「王貞治を『ラーメン屋のせがれ』と言い放った男」
証言者:王 貞治「頑なにダイエーの監督を拒む王貞治を口説き落とした男」
などなど、証言はまだたくさんあります。ぜひ本書を読んでみていただければと思います。
2018年のプロ野球は、カープとライオンズがリーグ優勝を果たし、日本シリーズはカープとホークスの戦いになりました。
これら3チーム、全てに根本陸夫氏が関わっているのです。この本を読めば、なぜ、誰が、どうやってチームを強くしたのかがハッキリと分かるはずです!
- アラーキー
- 常に何か食べてる宣伝担当
- 大学で専攻していたのが「ラオス語」というだけで珍しがられ、就職戦線を乗り切った30代。食べ物も本も好き嫌いはなくて何でも好き。見たことのない食べ物があればとりあえず食べ、タイトルやカバーが良いと思った本はとりあえず買う。趣味は秘境駅巡りと野球観戦(カープファン)とバドミントン。
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2021.7.15 ナツイチ2021
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2021.3.19 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 高野秀行/清水克行 著
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2020.11.20 名も無き世界のエンドロール 行成 薫 著
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2020.6.19 ナツイチ2020
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2020.3.19 あのこは貴族 山内マリコ 著
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2019.11.20 ひとよ 長尾徳子 著/原作・桑原裕子
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2019.7.19 慈雨 柚月裕子 著
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2019.2.20 みかづき 森 絵都 著
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2019.2.1 我が家のヒミツ 奥田英朗 著
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2018.12.7 根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男 髙橋安幸 著
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2018.07.20 恋するソマリア 高野秀行 著
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2018.01.19 オトコの一理 堂場瞬一 著
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2017.03.17 桜のような僕の恋人 宇山佳佑 著
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2016.11.18 全一冊 小説 上杉鷹山 童門冬二 著
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2016.06.23 チア男子!! 朝井リョウ 著
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2016.02.19 無伴奏 小池真理子 著
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2015.11.20 狭小邸宅 新庄 耕 著