アラーキーオススメの本
『あのこは貴族』 山内マリコ 著
作品制作・写真/金沢和寛
居酒屋トークでよくある、「来世、生まれ変わるとしたら男と女、どっちがいい?」という話題。みなさんはどちらがいいですか?
東京の高級住宅地生まれのお嬢様・華子と、地方生まれで金銭的に苦労してきた上京組・美紀。二人のアラサー女性が本作の主人公。境遇がまったく異なる彼女たちが、ある一人の見た目も出自も完璧な男性を中心に巡り合う。とはいえ奪い合いの喧嘩をするわけではなく、何度か会って会話をしているうちに、自分自身のことを見つめなおすきっかけになっていく。
「幸せ」とは何か、「普通」とは何か。そんなものは人それぞれ。でも頭では分かっているけれど、目に見えるものではないし、何だか得体のしれないもの。日々生きていれば、どんな人でも葛藤や迷いを抱えながら暮らしているはず。性別や出自、容姿や仕事、様々なカテゴリーで他人を区別することもあれば、自分が区別されることもある。けれどそんな狭い世界だけで生きていると、自分にとっての「当たり前」のことしか見えなくなって、それ以外を排除してしまいがちですよね。
本書の登場人物たちもまさにそう。でも華子も美紀も、全然違う世界で生きてきたお互いが出会ったからこそ自分を客観視することができ、心理的に解放されていく。辛いことがあると、自分が置かれている環境のせいにしてしまうこともあったけれど、徐々に成長しながら一生懸命に生きる二人。そんな姿を読み進めていくと、すごく爽やかな、伸びやかな気持ちになれるんです。
冒頭の居酒屋トーク。本書を読むまでは異性に生まれ変わって全然違う人生を体験してみたいと思っていましたが、どちらになろうと、どこで生まれようと、そんなことは関係なく、なるべく広い世界に自分から積極的に触れていきたいと思いました。
プロフィール
- アラーキー
- 常に何か食べてる宣伝担当
- 大学で専攻していたのが「ラオス語」というだけで珍しがられ、就職戦線を乗り切った30代。食べ物も本も好き嫌いはなくて何でも好き。見たことのない食べ物があればとりあえず食べ、タイトルやカバーが良いと思った本はとりあえず買う。趣味は秘境駅巡りと野球観戦(カープファン)とバドミントン。
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2021.7.15 ナツイチ2021
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2021.3.19 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 高野秀行/清水克行 著
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2020.11.20 名も無き世界のエンドロール 行成 薫 著
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2020.6.19 ナツイチ2020
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2020.3.19 あのこは貴族 山内マリコ 著
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2019.11.20 ひとよ 長尾徳子 著/原作・桑原裕子
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2019.7.19 慈雨 柚月裕子 著
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2019.2.20 みかづき 森 絵都 著
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2019.2.1 我が家のヒミツ 奥田英朗 著
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2018.12.7 根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男 髙橋安幸 著
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2018.07.20 恋するソマリア 高野秀行 著
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2018.01.19 オトコの一理 堂場瞬一 著
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2017.03.17 桜のような僕の恋人 宇山佳佑 著
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2016.11.18 全一冊 小説 上杉鷹山 童門冬二 著
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2016.06.23 チア男子!! 朝井リョウ 著
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2016.02.19 無伴奏 小池真理子 著
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2015.11.20 狭小邸宅 新庄 耕 著