作品制作・写真/金沢和寛
今回おすすめするのは 松浦弥太郎『日々の100』です。元「暮しの手帖」編集長による愛すべき103の品々を1点2ページ、右ページは写真、左ぺージはそれにまつわるエッセイを、最後までレイアウト変わらず淡々と進んでいく1冊です。食べ物、食器から文房具、ファッション、愛読書に至るまで紹介されております。その左ページに入っている1ページ600字足らずのエッセイが深い! 日々使う何気ないモノを、なぜ好きになったのかこだわりはどこにあるのか、経緯や着眼点、エピソードが書かれています。情景がありありと浮かんできます。そんな著者のこだわりに触れていると自分のこだわりなんて見た目の良さやうわべだけで選んでいる、と反省しきりです。同じ24時間を生きているのに、なんでこんなに違いが……と思うことがしばしば。
著者は18歳で渡米し、20年余りアメリカで暮らしたこともあり、60年代・70年代のアメリカが一番輝いていたころのカルチャーを思い出させる品が登場します。もちろんアメリカだけでなくヨーロッパ、日本、世界中の逸品が紹介されております。
著者が提唱した「ていねいな暮らし」を崇拝し、あくせく働かずに結果を出す「ていねいな仕事術」を実践した結果、年商4000万円の社長となった方が先日テレビで『日々の100』を紹介されていました。毎朝必ず葉っぱから淹れるハーブティーを飲み、文房具もこだわりの万年筆を愛用し、寝る前にキャンドルを立ててゆっくり眠る生活。旧型の価値観では雑に生きることがワイルドでもてはやされたが、ていねいな暮らしで自分を大事にするのが新型の価値観。それが「ていねいな暮らし」です。検索エンジンで調べるとこの本をオススメされる有名人の方が数多くいらっしゃいます。家で過ごすことの多いこのご時世、ゆっくりと読みたい1冊としてぜひ!
『日々の100』にハマった方、著者のさらなるこだわりを103並べた『続・日々の100』もございます。本はブレずに右ページ写真、左ページにエッセイを淡々と並べております。
- シマシマ
- ワインが、お酒が好きすぎてワインエキスパートの資格を取ったノムリエ販売担当。本よりお酒のウンチクを語る時の方が饒舌??
- 男くさい、涙を誘う本がフィクション・ノンフィクション問わず好み。令和の時代に昭和からアップデートされていない自分を顧みて、他のジャンルの食わず嫌いはいかんと思う日々。旅行に出かける前にたくさん本を買い込んで荷物がついつい増えてしまうタイプ。
-
2023.03.17 23分間の奇跡 ジェームズ・クラベル 著/青島 幸男 訳
-
2022.07.20 カティンの森 アンジェイ・ムラルチク 著 / 工藤幸雄 久山宏一 訳
-
2022.04.21 腐葉土 望月諒子 著
-
2021.12.03 存在の耐えられない軽さ ミラン・クンデラ 著 / 千野栄一 訳
-
2021.07.02 しのびよる月 逢坂 剛 著
-
2021.02.19 アポロンの嘲笑 中山七里 著
-
2020.10.21 日々の100 松浦弥太郎 著
-
2020.06.05 M8 エムエイト 高嶋哲夫 著
-
2020.02.20 めぐりあいし人びと 堀田善衞 著
-
2019.10.18 オーパ、オーパ!! モンゴル・中国篇 スリランカ篇 開高 健 著
-
2019.06.21 水無川 小杉健治 著