文庫の「解説」、先に読む派? 後に読む派? 読み飛ばしちゃう派? 私は今まで、解説を読み飛ばしちゃってました。 作品を読んでどう感じたかは自分だけのもの、わざわざ他の人の解説なんていらない! と。 でも、これを読んだ後、そんな考えが180度変わってしまいました。 今回ご紹介する『勝手に! 文庫解説』は、解説界の巨匠・北上次郎氏が、仕事でもないのに勝手に書いちゃったという、至極の「解説集」。 読んだことのある本の解説なら未だしも、読んでいない本の解説を読んでも……と思っていたのが、なかなかどうしてこれが面白いんです! 例えば野崎まど『know』の解説。何と最後の4ページを読み飛ばしてしまったという話から、そこから夏目漱石『それから』を誤読した話に発展、そして遂には『know』という物語そのものが自分に誤読を強いたのだという解釈を長々と語ります。 この解説に限らず、北上先生の解説はとても自然体で、人間味に溢れていて、純粋に本を愛している様子が伝わってきます。 共感しながら・ツッコみながら読むこの感覚は、あたかも本好きの友人と本にまつわる話をしているかのよう。 人と本の話をするのが楽しい、好きな本の話を聞くのが好き、そんな人にぜひ、オススメしたい一冊です。