わかっているけど、わからないふりをすることはありませんか?本書は私たちがわかっているけど目を背けている不都合な真実を明らかにします。私がもっとも共感した評論を抜粋します。
「私たちは人類史上もっとも幸福な時代に生きている」(119ページより)
格差、テロ、社会の右傾化、過労死など様々な社会問題により、私たちの暮らしは悪い方向にむかっていると多くの人が思っています。しかし果たして、それだけで“昔”よりも悪い社会だといえるのでしょうか? 人類は食糧不足と栄養失調に長い間悩まされてきましたが、1961年に30億人だった世界人口は2011年に70億人を突破しました。確かに現在でもアフリカの飢饉が報じられることがありますが、その原因は戦争や内乱により、農作業や物流がストップするためです。一般的に私たちは飢えることのない、人類史上もっとも幸福な時代に生きているのです。そのことが不都合な真実のため隠す人々がいるのです。
いつの時代も人々は悩み・苦しんできた。その悩み・苦しみが時代背景とともに変わっただけだと私は思います。
「日本的雇用からブラック企業が生まれた」(124ページより)
日本の会社は終身雇用と引き換えに正社員に対する絶対的権力を持ちます。最低賃金、有給休暇など最低限の労働条件を満たしていれば会社は正社員への無理な要求が許されます。サービス産業などではこの歪な関係を利用して、「正社員」という待遇のもとに最低賃金とサービス残業でアルバイト以下の人件費で賄える、正社員を雇用することに成功しました。このことは大企業でも同様です。日本型雇用形態である終身雇用に基づいた正社員のシステムがブラック企業を次々と誕生させているのです。
私たちは会社の上司部下、先輩後輩といった人間関係に縛られ過ぎているのだと思います。一人一人の人間が自由になれる社会が来る日を望みます。
「選択肢が多すぎると選択できなくなる不幸」(219ページより)※以下本文より引用
「マーケティングの実験では、選択肢が多すぎると消費者は選択できなくなることが知られています。スーパーの試食品コーナーでジャムを販売する場合、選択肢が6種類よりも24種類あったほうが顧客の満足度は高くなります。しかし実際に自分の好みのジャムを見つけて購入するのは、6種類のほうが圧倒的に多いのです。24種類のジャムを前にした消費者は、あれこれと試食してみますが、けっきょくどれにするか決められず売り場を立ち去ってしまうのです。」(221ページより)
私は選択肢が多すぎると、結局決められません。「もっといいものがあるはず」「これ以上のものに出会えるはず」、そんなことばかり考えてしまいます。でも結局、目の前にある選択肢が一番よいものなんです。たとえそれが“最高”ではなくても、“最良”のものになると感じたら、選んでいく勇気を持ちたいです。
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